人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った血小板の大量製造に取り組んでいる京都大iPS細胞研究所などの研究グループが、従来の5倍超の製造能力を持つ新たな培養装置を設計したと発表した。献血に依存している血小板製剤の商用生産実現を加速させることが期待されるという。論文は17日、国際学術誌に掲載された。

血小板は、血管の損傷部分に集まって止血する働きがあり、元となる血液細胞「巨核球」に不規則な血流がぶつかって作られる。

研究グループは2014年、ヒトのiPS細胞から巨核球を作製する手法を確立。18年には容量8リットルの培養装置を開発し、血小板減少症の患者を対象とした臨床試験(治験)などを行ってきた。

その後、培養装置の大型化に取り組んできたが、不規則な血流が部分的にしか生まれず、血小板の品質や作製効率が低下した。そこで、装置内をかき混ぜる円板を3枚にした45リットルの装置を新たに設計。シミュレーションの結果、装置内全体に不規則な血流が生じることを確認した。

同研究所の江藤浩之教授(再生医学)は「新しい装置を用いてさらに検証を進め、早期の産業化につなげたい」と話している。

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