ホテイウオ(ダンゴウオ科)の稚魚が、北海道・知床半島の羅臼町沿岸で、オタマジャクシのような可愛らしい姿を見せている。クリッとした目玉をキョロキョロと動かす。
写真の個体は赤色で、全長は約5ミリ。赤い海藻の上でじっとしていると目立ちにくく、天敵から襲われるのを防ぐ「保護色」の効果があるとみられる。
稚魚の体色は赤以外にも、オレンジや白、グレーなど様々なタイプがある。いずれも、腹部にある吸盤で、海底の岩や海藻などにマグネットのように貼り付いている。
知床ダイビング企画の関勝則代表によると、羅臼町沖では4~5月に親魚が岩に卵を産み付ける。子どもたちは、生まれてしばらくは沿岸の浅い海ですごすが、7月に入り、全長が1センチ近くになると、海の深い場所へと姿を消すという。
ホテイウオは、性成熟するまでに約3年かかり、成長すると30センチを超す大きさになる。和名は漢字で「布袋(ほてい)魚」と書くが、これは、腹がぷっくりと膨らんだ成魚の姿が七福神の布袋様に似ていることによる。
漁業の対象となり、北海道の道南地方などでは、鍋物の「ゴッコ汁」が郷土料理として親しまれている。(山本智之)
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