博士課程進学を目指す大学院生の経済的負担を和らげ、材料研究を下支えする(つくば市の物材機構)

物質・材料研究機構(NIMS、茨城県つくば市)は、同機構で研究しながら博士課程進学を目指す大学院生に一時金を支給する制度を導入する。経済的な理由で進学を断念していた学生を応援し、先端材料研究を下支えする。支度金制度の導入で、優秀な人材確保にもつなげる考えだ。

「NIMSジュニア研究員スタート支援制度」は、学位取得を目指し研究する大学院生を物材機構が任期制職員として雇用する「ジュニア研究員」に一時金30万円を支給する。2024年度から募集を始め、25年春の入学を想定している。

学生は大学院に進学する際、入学金や授業料など様々な経済的負担を求められ、博士課程への進学を断念するケースも多いという。入学金の概念が存在しない欧米の大学院との人材獲得競争でも不利になっている。

物材機構は既に「ジュニア研究員」に研究への貢献に対し、14日間の勤務で月額約20万円の給与を支払う制度を導入。生活費など経済的な心配を減らし、学位取得のための研究に時間を割くことができるように配慮している。今回、一時金制度を加えることで支援を一段と手厚くする。

国内の大学における博士後期課程への進学者数は、03年以降減少傾向が続く。博士号取得者数は、日本に比べて総人口が少ないドイツや英国の博士号取得者数の半分程度と低迷しているのが現状だ。

こうした状況を打開しようと物材機構は、筑波大や北海道大、大阪大など7大学と博士後期課程の教育や研究で連携している。金銭面での不安を解消する一時金制度導入で、国内外からの優秀な人材確保にもつながりそうだ。

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