政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)グループで投資判断を受け持つJICキャピタルとその傘下となった半導体材料大手のJSRは27日、共同会見を開いた。JICキャピタルの池内省五社長は「細分化された製品を束ね、パッケージとして競争力を高めていく」と話した。
JSRは半導体製造工程で使う「フォトレジスト(感光材)」で高い市場シェアを持つ。JICによるJSRのTOB(株式公開買い付け)が4月に成立し、25日にJSRは上場廃止となった。JSRのエリック・ジョンソン社長は「5~7年で再上場を目指す」と話した。
日本では、中小規模の企業が半導体材料で高い競争力を持っている場合も多い。池内氏は「長期的にみれば欧米の競合に規模で劣後するリスクを抱えている」とし、業界再編を通じて規模を追求する必要性を説いた。
JSRが強みを持つ露光工程に加え、その前後の工程で使う材料の品ぞろえを増やせば顧客への提案力が高まる。「日本の半導体の材料産業にとってマイルストーンになる」(池内氏)。
ジョンソン氏は「財務支援を戦略的に得られる」と連携の意義を強調した。池内氏も「バリューが高まると明確に認識できれば、利益が厳しい時期でも支援するのが重要な役割だ」と話した。
JICキャピタルは2024年3月期に大幅な営業赤字を計上したバイオ医薬品の開発・製造受託事業(CDMO)などライフサイエンス事業への投資も継続する方針を明らかにした。池内氏は「収益性の改善が喫緊の課題だ。運営力を高められれば相当な収益を獲得できる」とした。
同日、JSRの取締役会の刷新も発表した。池内氏や富士フイルムでCDMO事業を統括した実積のある石川隆利氏などが新たに取締役に就く。ジョンソン氏は社長を続投する。
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