ニホンザル=大分市の高崎山自然動物園で2022年12月23日午前10時22分、石井尚撮影
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 足し算と引き算に強く反応する神経細胞をサルの脳で見つけたと、東北大の虫明元(むしあけはじめ)教授(神経生理学)らのチームが発表した。右手が足し算、左手が引き算と関連性があり、こうした左右の違いがヒトの脳にも備わっている可能性が示唆される。

 サルやチンパンジーは、簡単な足し算や引き算と似た行動をすることが知られている。数式や言葉を使わずに計算できる脳細胞があると考えられてきたが、詳しくはわかっていなかった。

 チームはニホンザルを使い、モニターに示した白丸の数を両手のハンドルで増減させ、事前に記憶させた白丸の数に合わせさせる実験をした。ハンドルは「右手で引き算、左手で足し算」と、「右手で足し算、左手で引き算」の二つの組み合わせを比べた。

サルで足し算、引き算にかかわる脳細胞を調べる
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 すると、サルが増減を計算するときに強く反応する神経細胞が多く見つかり、足し算細胞は右手、引き算細胞は左手の動作に強く結びつく傾向がわかった。正答率はどちらのルールでも同じだった。手を動かすために元々あった細胞を、計算で活用しているとみられるという。

 人間には、電気をつけるときにスイッチの右側を押したり、音量を上げるためにつまみを右に回したりと、数量を加えるときは右、減らすときは左という感覚があるとされる。この感覚が文化や教育によるものではなく、霊長類の脳に元々備わっている可能性が示された。虫明さんは「数字や記号だけでなく、手や指などの身体を活用することで、脳機能に基づいた数学教育に応用できる可能性がある」としている。

 論文は3月28日、英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。【寺町六花】

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