原子力規制委員会は28日、中部電力浜岡原発3、4号機(静岡県)の再稼働に向けた審査会合を開き、想定される津波の高さを25.2メートルとする中部電の評価を「おおむね妥当」と認めた。既存の標高22メートルの防波壁を上回るため、中部電はかさ上げなどの追加工事をする必要がある。
中部電はこれまで南海トラフ巨大地震などを想定し、最大の津波高さを22.7メートルと試算していたが、海底の地滑りなどによる津波が重なれば、高さは最大で25.2メートルになると評価した。
浜岡原発は東日本大震災後の2011年5月、巨大地震発生を懸念した当時の菅直人首相の要請で運転を停止。同年11月から防波壁の工事を始めた。当初標高18メートルの計画だったが、12年に国の有識者会議が周辺で想定される津波を最大19メートルとしたことを受けて、4メートルかさ上げし、標高22メートル、全長約1.6キロで、15年12月に完成した。
中部電は14~15年、3、4号機の再稼働に向けた審査を規制委に申請した。新規制基準では、敷地への津波の流入を防潮堤などで防ぐよう求めている。中部電はこれまで、防波壁の建設などで安全対策費を総額4千億円としてきたが、かさ上げによる追加工事で費用が膨らむのは必至だ。
津波のほかにも建屋の耐震性などの審査が残っており、再稼働の時期は見通せていない。(矢田文)
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