金融庁は排出量データの公平性と信頼性確保に向け検討を促す

金融庁は9日、企業の脱炭素などを金融サービスで支援する「サステナブルファイナンス」について、官民の取り組みや課題をまとめた報告書を公表した。企業と投資家の間では温暖化ガスなどの排出量データを経営指標や投資判断の材料として活用する動きが広がる。データの品質向上に向け、正確性を担保する仕組みを検討するよう促した。

排出量データをめぐっては、企業間で測定対象が異なることや、測定したデータの正確性を担保する人材の不足などの課題がある。サステナブルファイナンスの発展に向けて、排出量データの測定対象を定め、データの公平性と信頼性を確保することが必要だと指摘した。

サステナビリティー投資の理解推進に向けた取り組み強化も促した。課題は脱炭素から人的資本、生物多様性まで多岐にわたる。分野が広範で複雑なため、個人投資家が投資の意義や商品の性質を理解するのが難しく、理解が十分に浸透していない。

金融機関にはサステナビリティー投資の考えに基づく投資信託などの金融商品の開発拡充を検討するよう促した。投資家が理解しやすいよう、サステナビリティー投資の目的や使途を明らかにし、幅広い投資家の市場参加を促すねらいがある。

金融庁が2022年12月に策定したESG(環境・社会・企業統治)データを提供・評価する機関向けの留意点をまとめた行動規範の活用が広がる。6月末時点で計26機関が賛同している。今後、ESG評価・データ提供機関と企業との対話を後押しするため、具体的な規制や規範について検討するよう促した。

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