半導体製造装置大手のKOKUSAI ELECTRICは10日、大株主の米投資ファンドのKKRなどが最大で25.7%分の株式を売り出すと発表した。10日終値ベースで約3200億円に相当する。KOKUSAIは2023年10月に新規株式公開(IPO)し、今回の売り出しで独立性が高まる。
KKRは最大20%売り出し、保有株数は43.4%から約23%に低下する。10日終値で換算すると売却額は約2800億円。4位株主の米事業会社傘下のファンド、KSPコクサイ・インベストメンツも保有株式(約5.7%)をすべて売り出す。
国内外の大手証券会社を介して引受先を募集し、7月中の売却完了を目指す。売却価格は、7月22〜24日のいずれかの日の終値に0.90〜1.00をかけ算した価格を仮条件として、需要状況に応じて決める。
同日、KOKUSAIは180億円を上限に自社株買いを実施すると発表した。9月20日までに実施する。KKRなどの株式売却による需給悪化の影響を和らげる狙いだ。
KOKUSAIの有価証券報告書によると、3月末時点でKKRは43.4%を保有していた。KKR側の株式売却を制限する「ロックアップ条項」は4月22日に解除されたものの、市場への影響を最低限に抑える機会を探った。KOKUSAIの通期決算発表を終え、株価上昇に伴う同社株の需要を確認した上で売り出しを決めた。
KOKUSAIは、KKRが18年に日立国際電気を買収し、半導体装置部門を分社して設立した経緯がある。23年10月に東証プライムに上場した。半導体製造工程でウエハーに薄い膜を形成する成膜装置を手掛ける。先端半導体投資の追い風を受け、株価は公募価格(1840円)から5400円へと上昇していた。
足元のKOKUSAIの業績は好調だ。25年3月期の連結売上収益(国際会計基準)は前期比20%増の2175億円、純利益は同30%増の290億円を見込む。半導体メモリー向けの製造装置が好調で、配当も前期比2.9倍の年32円に引き上げる方針を示していた。
日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、半導体装置の販売予測で24年度は前年度比15%増となり、25年度、26年度も10%の市場成長が見込まれている。今回のタイミングでの売却は、大株主の売り出しでも株価基調は底堅いとの判断も働いたとみられる。
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