【シリコンバレー=清水孝輔】米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は10日、人工知能(AI)開発を手掛けるフィンランドの新興サイロエーアイを6億6500万ドル(約1000億円)で買収すると発表した。ソフトウエア分野を強化し、AI半導体で先行する競合の米エヌビディアに対抗する。
サイロエーアイはAI研究者が2017年に設立した新興企業で、生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)の開発を手掛ける。買収手続きは24年内の完了を見込む。買収後はAMDのAI部門として開発を続ける見通しだ。
サイロエーアイには300人以上のAI専門家が所属し、125人以上が博士号を持つという。6月には欧州の生成AI開発企業として代表格であるフランスの新興ミストラルAIと企業向けのサービス提供で提携すると発表した。
AMDは買収を通じてAIのソフトウエア分野を強化してきた。23年10月にはAI関連の新興企業であるノッド・エーアイの買収を発表し、同社のソフト技術と自社の半導体を組み合わせて提供できるようにした。過去1年間でAI企業に1億2500万ドル以上を投資してきたという。
エヌビディアは「CUDA」と呼ぶソフト開発基盤を強みにAI半導体で約8割のシェアを握る。足元では買収や出資を通じてソフト分野をさらに強化し、競合を引き離そうとしている。4月にはAI関連のデータ分析を手掛けるイスラエル新興を7億ドルで買収すると発表した。
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