海洋研究開発機構などの研究チームは10日、探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の砂の分析で、生命に欠かせないアミノ酸や核酸塩基などの原材料になる有機物を多数見つけたと発表した。論文は、同日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に掲載された。

海洋機構の高野淑識上席研究員らは、りゅうぐうの砂から水に溶けやすい成分を抽出し、詳細に分析。たんぱく質を構成するアミノ酸のもととなるピルビン酸や、DNAを構成する核酸塩基をつくるリンゴ酸、細胞膜の材料となるメバロン酸など計84種の有機物を見つけた。

また、水に触れると不安定になる有機物の存在比率などから、りゅうぐうのもととなった天体(母天体)が約46億年前にできた後、長期間にわたり水が豊富に存在していたことが裏付けられた。「水質変成」と呼ばれる水と鉱物、有機物の相互反応が起きていた。

これまでの試料分析で、23種類のアミノ酸や、核酸塩基の一つ「ウラシル」は見つかっている。高野さんは「アミノ酸やウラシルのもととなる物質も見つかった」と説明。「生命が誕生する前に、生命にとって重要な分子がりゅうぐうにも普通に存在し、そろっていた」と話した。

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