5年前の7月18日、京都市伏見区にあった「京都アニメーション」の第1スタジオが放火され、社員36人が亡くなり、32人が重軽傷を負いました。
殺人や放火などの罪に問われた青葉真司被告(46)は、ことし1月に京都地方裁判所で死刑判決を言い渡されて控訴していて、今後、大阪高等裁判所で2審が開かれることになっています。
京都アニメーションの本社がある京都府宇治市の「お茶と宇治のまち歴史公園」では、今月、事件を伝える碑が完成しました。
事件から5年となり、NHKの取材に応じた遺族からは「つらい気持ちを思い出すので裁判は2審で終わりにしてほしい」とか、「5年たっても悲しみは変わらない」などといった声が聞かれます。
18日は現場となったスタジオ跡地で事件の発生時刻の午前10時半すぎにあわせて追悼式が開かれ、遺族や会社の関係者が参列して、亡くなった社員を悼むことにしています。
会社は、周辺の混乱を避けるため一般の人に追悼式が開かれる現場周辺を訪れないよう呼びかけています。
石田奈央美さんの母親「もう5年目かと短く感じる」
京都アニメーションで色彩設計を担当していたアニメーターで、事件で亡くなった石田奈央美さん(当時49)の母親は、「裁判までは事件からの月日を長く感じることもありましたが、改めてこの5年を振り返ると悲しい気持ちに変わりはなく、『もう5年目か』と短く感じます」と話しています。
これまで奈央美さんの納骨をしてきませんでしたが、事件のあと病気で亡くなった奈央美さんの父親とあわせてことし5月に納骨を行ったということです。
母親は、「事件で突然亡くなったため気持ちの整理がつかず、少しでも家にいてもらおうと納骨はしていませんでした。裁判が一段落ついたことと、娘もお父さんと一緒だったらさみしくないと思って2人一緒に納めました。悲しい気持ちに変わりはありませんが、前を向かないといけないと思っています」と話していました。
「遺族にとって区切りはない」
事件で亡くなったアニメーターの男性の父親は「事件から何年たっても遺族にとって区切りはない。命がある限り息子のことを思い出し、つらい思いを抱えて生きていく」と話し、苦しい胸の内を明らかにしました。
そのうえで大阪高等裁判所で開かれることになっている2審については「2度と同じような事件が起きないことにつながる何らかの要素が裁判で見つかってほしい。ただ、遺族としてはもうそっとしておいてほしい気持ちもあり、裁判は2審で終わってほしい」と複雑な気持ちを話していました。
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