世界的なシステム障害で航空便の遅延や欠航が相次いだ=AP

【シリコンバレー=清水孝輔】米企業のセキュリティーソフトの不具合により世界各国で同時発生した大規模システム障害の影響が続いている。航空便では米国時間21日時点でなお約3万便が遅延している。障害の発生直後に比べると遅延や欠航数は減っているものの、影響が完全に解消するには時間がかかるという見方がある。

航空調査データのフライトアウェアによると米西部時間の21日午後7時時点(日本時間22日午前11時時点)で世界で約3万2000便が遅延し、約2600便が欠航している。米国では約9600便が遅延し、約1800便が欠航している。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米航空会社の欠航率は21日にデルタ航空が17%、ユナイテッド航空が5.5%だった。夏の繁忙期の週末で利用者が多かったことが影響の広がりに拍車をかけた。

デルタ航空は21日、声明で「当社のチームはシステムの復旧と運航の再開に取り組んでいるが、日曜日も欠航が続いている」と述べた。影響を受けた乗客に対し、補償として追加料金なしで航空便を変更したり、食事代やホテル代を出したりしている。

大規模障害はセキュリティー大手の米クラウドストライクが、不具合を含んだ更新ソフトを配信したことが原因となった。米マイクロソフトは20日、約850万台の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を搭載する端末が影響を受けたとする推計を発表した。

クラウドストライクは障害後に修復ソフトを配信し、多くの企業は復旧作業を進めた。同社は21日にも技術者向けのサイトを更新し、復旧の手順に関する説明を続けている。マイクロソフトは20日、システムの復旧を支援するための新たなソフトを配信したと発表した。

航空会社はウィンドウズで多くのシステムを動かしており、障害の影響が連鎖して復旧に時間がかかった。米メディアによると、パイロットや客室乗務員自身が遅延や欠航に巻き込まれ、業務に支障が出ている影響もあるという。

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