宇宙航空研究開発機構(JAXA)は現在の大型基幹ロケット「H3」の後継にあたる次期基幹ロケットの開発に着手する。来年度からH3の改良研究を始め、米スペースX社が実現している第1段部分の再使用などの新技術も開発したうえで、2030年代の打ち上げを目指すとしている。
23日の文部科学省の専門家部会に開発方針を示した。H3は今年2月に2号機が打ち上げに初めて成功。30年代を想定する月などへの物資輸送には、H3の2倍程度の打ち上げ能力が必要になる。民間企業を含めたロケット打ち上げ市場で、日本の競争力を保つための低コスト化も重要になる。
そこでJAXAは短期間に改良と打ち上げを繰り返して、段階的に高度化を進めるスペースX社と同様の「ブロックアップグレード方式」を採用。25年度からH3の信頼性向上などの改良に着手した上で、30年代にはH3に続く液体燃料式の次期大型基幹ロケットの打ち上げを目指す。
費用低減の要として、打ち上げに使ったロケット1段目を安全に地上に戻して、再使用する技術開発も本格化。仏・独と開発を進める再使用実験機の仏領ギアナからの来年度中の打ち上げをめざす。(竹野内崇宏)
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