【シリコンバレー=渡辺直樹】米アップルが中国のスマートフォンのランキングでトップ5位から陥落した。米調査会社IDCが25日に発表した4〜6月の出荷台数で、中国の現地スマホメーカーが5位までを独占し、アップルは6位となった。5位圏外になるのは約5年ぶりとなる。各社の安値攻勢や米中対立により、成長エンジンとなってきた中国のiPhone販売が苦戦している。
IDCによると、4〜6月の中国のスマホ出荷台数は前年同期比8.9%増の7160万台だった。vivo(ビボ)が首位で、2位が華為技術(ファーウェイ)、OPPO(オッポ)、Honor(オナー)、小米(シャオミ)と続き、中国メーカーがランキングを独占した。
アップルの中国の出荷台数は3.1%減で、2桁増となったvivo、ファーウェイ、シャオミと対照的となった。
最も伸び率が大きかったのは50.2%増のファーウェイで、投入した新製品が好調だった。高機能モデルを中心にアップルのシェアを奪う形となっている。
ファーウェイは米国による高性能半導体の輸出制限により一時スマホ生産が難しくなり、低価格スマホのオナーを切り離すなどして大きく低迷した。最近では半導体の内製と独自の基本ソフト(OS)の開発により新製品を出し息を吹き返している。
アップルの売上高のうち香港と台湾を含む中華圏は2割弱を占める。中国は欧米に続く市場として成長エンジンとなってきたが、陰りが見えている。背景には米中対立もあり、2023年9月には中国の政府系機関や国有企業がiPhoneの使用制限を拡大したと報じられた。
アップルは新たに生成AI(人工知能)サービス「アップルインテリジェンス」を発表し、iPhoneへ投入する計画だ。中国では対話型AI「Chat(チャット)GPT」など海外AIが制限されている。中国の現地メーカーは独自のAI機能をスマホに搭載を進める中、現地仕様に切り替える難しさも抱えている。
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