持続可能な開発目標「SDGs」が国連で採択されて2025年で10年。帝国データバンクの調査によると、国内ではSDGsに積極的な企業が54・5%に達した。その一方で、4割強の企業では取り組みが進まない実態もある。
SDGsに積極的な企業の割合は前年から0・9ポイント増の54・5%で、過去5回の調査で最高だった。ただ一方で「意味や重要性を理解しているが取り組んでいない」企業が33・5%、「言葉は知っているが意味や重要性を理解できない」企業が7・4%あった。
SDGsは「貧困をなくす」「ジェンダー平等」「気候変動対策」など30年までに取り組む17の目標を掲げ、15年9月に採択された。グローバル企業などで取り組みが進み、国内でも取り組み企業の経営者らが17色のドーナツ形のバッジを襟元につける姿が一般的となった。
調査結果では、取り組み企業からメリットとして、イメージアップなどが挙げられ、「取り組まないと人員確保が難しい」との回答も。発注先にSDGsへの取り組みを求める大手企業が増え「取引先から取り組み状況の調査が増えた」「顧客に選ばれ、企業を存続させる上で必要」とする企業もあった。
ただ、過去5年の調査のうち直近の2年は積極的な企業の伸び率が鈍化しており「ブームの一服感もある」(帝国データ)。中小企業で取り組みへの遅れが目立ち、「目先の課題解決で手いっぱい」といった回答もあった。
SDGsには身近な問題に関する目標も多く、従業員の働きやすさ向上など多くの企業が日常的に取り組んでいるテーマもある。帝国データは「SDGsに難しいイメージを持つ企業はまだ多い。一方、気付かないうちにSDGsに取り組んでいる企業も多い」としている。
調査は帝国データバンクが6月後半にアンケート形式で実施し、約1万1000社から回答を得た。【久野洋】
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