東北電力の樋口康二郎社長(7月31日、仙台市)

東北電力が31日発表した2024年4〜6月期の連結決算は、純利益が605億円と前年同期比で24%減ったものの過去2番目の高水準だった。燃料価格の変動が遅れて料金に反映される「期ずれ差益」が前年同期に比べ縮小した一方、販売電力量の増加や火力発電所の燃料費低下が利益水準を押し上げた。

売上高は3%減の6145億円、経常利益は20%減の901億円といずれも過去2番目の高水準となった。小売りの電力販売量は伸び悩んだものの、卸売りでは卸電力市場取引が増加したことなどにより全体で5.3%増の175億キロワット時となった。

燃料費の低下で電気料金に反映できていなかった燃料費調整単価の上限超過分が解消され、150億円相当の収支改善の効果があった。燃料調達の効率化も寄与した。

女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)2号機の再稼働が11月に延期となったものの、25年3月期通期は売上高が前期比微増の2兆8300億円、純利益が43%減の1300億円とする従来予想を据え置いた。

樋口康二郎社長は同日の記者会見で、女川2号機について「再稼働の目標時期を見直したことは重く受け止めている。再度見直しが発生することがないよう取り組む」と述べた。

自己資本比率は16.9%と依然として低い水準にある。樋口社長は「大規模災害や燃料価格の変動リスクを考慮すると、電力の安定供給を維持していくためには自己資本の積み増しによる財務基盤の回復が急務」と話した。

31年3月期までに火力発電の脱炭素化や再生可能エネルギーなどに3000億円程度の投資を予定している。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。