九州電力は31日、純粋持ち株会社制への移行に向けた準備を始めると発表した。持ち株会社を新設し、傘下に発電・小売りや送配電、再生可能エネルギー、ICT(情報通信技術)などをそれぞれ担う事業子会社をぶら下げる形を想定している。グループ経営で全体最適を追求しやすい体制にするとともに、各事業に自律的な運営を促して競争力の向上につなげる狙いだ。
同社は5月の原子力規制委員会との意見交換の場で、純粋持ち株会社制への移行を検討すると明らかにしていた。31日に開いた取締役会で移行準備の開始を正式に決めた。持ち株会社の商号を含む新体制の詳細や今後のスケジュールなどについては検討を進める。
純粋持ち株会社制の導入は大手電力で初めてで、ガバナンス(企業統治)の向上にもつながるとみている。移行は単独株式移転方式とする方針。現在の九州電力株は上場廃止となるが、現在の株主には持ち株会社の株を交付する。持ち株会社が新たに上場するため実質的に上場は維持される。
併せて同日、子会社の九電みらいエナジー(福岡市)が手がける九州域外向け電力小売事業を2025年4月に子会社の九電ネクスト(同)へ移管すると発表した。みらいエナジーは再生エネ事業に特化し、九電グループの収益のけん引役として再生エネの販売拡大を目指す。
九電ネクストはエネルギー関連のコンサルティングや九電からの業務受託などの事業を行っている。今回の事業承継によって顧客基盤が広がることで、電力を販売していた域外の法人顧客に対して太陽光発電設備の設置提案をするといった相乗効果を狙う。
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