米半導体大手エヌビディアの日本法人は中部大学(愛知県春日井市)とAI(人工知能)ロボティクスの分野で共同研究に乗り出す。31日、連携協定を結んだ。ロボット制御に生成AIを活用する最新の技術革新の動向などを踏まえ、日本国内でAIやロボティクスの分野に強みを持つ中部大と組んで技術開発を加速する。
中部大は2021年にAI数理データサイエンスセンターを開設したほか、理工学部にAIロボティクス学科を設置するなどAIの研究や教育で先行している。エヌビディアのAIスーパーコンピューター「DGX A100」を日本の大学で初めて導入するなど投資も強化してきた。エヌビディアの画像処理半導体(GPU)を搭載したサーバーも10台以上備える。
エヌビディア(東京・港)の井崎武士エンタープライズ事業本部長は「ロボティクスはモノを認識する『目』のAI以外に、制御の領域でも生成AIを活用する動きが出てきた」と指摘。「中部大は仮想空間を手がけるコンピューターグラフィックス、物体認識のAI開発、AIロボットの制御もやっている」として連携の狙いを説明した。
井崎氏は「エヌビディアは単なるGPUのハードメーカーというイメージがあるが、我々は高速コンピューティングで社会課題を解決するプラットフォームを提供している」とも語った。中部大のAIロボティクス学科などを念頭に「一番必要な技術に投資している。先見性を持った大学だ」として共同研究に期待感を示した。
中部大の竹内芳美学長は「エヌビディアはAIやグラフィックスの技術で世界をリードする企業で、高く評価されている。連携により中部大は大きな飛躍を遂げると確信している」と語った。「AIやディープラーニング(深層学習)、データサイエンスの分野で最先端の研究を進める」と訴えた。
教育でも連携を前面に打ち出す。24年の秋学期からエヌビディアのディープラーニング分野の教材を使い、実践的な演習を取り入れた講義を始める。竹内学長は「学生にも実践的な学びの場を提供し、未来の技術革新を担う人材を育成する」と強調した。
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