「GDS2024世界デジタルサミット」で講演する日本IBMの山口明夫社長(1日、東京都千代田区)

日本IBMの山口明夫社長は1日、「GDS2024世界デジタルサミット」(主催:日本経済新聞社)で登壇した。企業が人工知能(AI)で価値を創造していくためには「オープンにAIを共同開発し、企業のもつデータを組み込んでいくことが重要だ」と話した。

AIは質の高いデータを大量に読みこませることで能力が向上する。一般に公開されているデータに加えて、まだ活用されていない企業データを学習させれば、より精度の高いAIを構築することができる。山口氏は「価値がある企業のデータをいかに開放するかということが大きなポイントになる」と話す。

そのためには複数の企業が共同でAIのモデル開発に関わり、業界のデータを提供する必要がある。米IBMは2023年12月、オープンソースによる生成AIの開発や利用を促進するための団体「AIアライアンス」を企業や研究機関などと立ち上げた。情報を開示することでAIの信頼性も高めたい考えだ。

企業がAIの活用を推進するためにはガバナンスの確立も欠かせない。データの管理や運用体制を確立し、適切に管理することが企業の信用につながる。山口氏は「どこの部門でどんなAIを使っているか把握するなど、管理が重要になる」と指摘した。

AIの急速な進化と浸透により機械学習に必要な計算量が加速度的に増えたことで、将来的な電力の確保が課題となる。日本IBMは従来型のコンピューター、ニューロン技術、量子コンピューターの3つを組み合わせることで対応していくとした。

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