名古屋大のチームが行った実験で、怒りを感じた状況や感情を書いた紙を丸めて捨てる参加者(同大提供)

 怒りは紙とともに去りぬ?―。怒りを感じた際、その状況や感情を紙に書いて捨てると怒りが抑制されることが実験で分かったと、名古屋大のチームが21日までに、英科学誌に発表した。

 怒りを投影した物体がなくなることで、感情を抑えられたとみられる。川合伸幸教授は「この手法なら職場や家庭で簡単に怒りを鎮められる。ぜひ活用してほしい」としている。

 チームは、学生50人に路上喫煙や学費値上げをテーマに意見を書いてもらい、内容についてわざと「大学生が作成した文章とは思えません」などと低い評価を伝え、怒りを抱かせた。その度合いを「むかむかした」「いらだった」など怒りを表す五つの形容詞が当てはまるかどうかそれぞれ6段階で評価してもらい、五つの平均を「怒り得点」とした。

 その状況や気持ちについて客観的に紙に書かせ丸めてごみ箱に捨てさせると、侮辱される前と同程度まで得点が下がった。一方、紙を裏返しにするだけで捨てなかった場合は、得点があまり下がらなかった。シュレッダーで紙を裁断した場合も捨てるのと同様の効果があった。

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