黄色に見える点が蛍光発色する遺伝子の導入に成功した箇所で、拡大㊨すると緑に発光している=北海道大学提供

北海道大学の市原健介助教らの研究グループはゲノム編集技術を応用して、海藻の狙った場所に新たな遺伝子を導入して性質を作りかえる技術を開発した。アオノリを使った実験で成功した。手法を改良し、海での二酸化炭素(CO2)の吸収促進やバイオ燃料としての機能を高める応用を目指す。

植物の種類によって、遺伝子を効率よく改変する技術であるゲノム編集のしやすさは異なる。特に海藻などの藻類は難しいとされていた。

研究グループは2020年のノーベル化学賞の授賞テーマとなった「クリスパー・キャス9」を応用した。編集するDNAを特定する「ガイドRNA」とDNAを切るはさみのような役割を持つ「キャス9」の複合体のほか、導入したい2本鎖のDNAとそれを貼る「のり」の役割を果たす1本鎖のDNAの3つを海藻の生殖細胞に入れる独自の手法を開発した。

アオノリを使った実験では、狙った場所に緑色蛍光たんぱく質(GFP)を導入することに成功した。緑の発色を目視で確認できる性質を生かし、アオノリが数世代にわたってGFPの機能を出し続けていることを確認できた。

GFPよりも長いDNAの切片を新たに入れる実験も試みた。ただ、想定していた遺伝子の配列にはなっていなかった。より長いものを含めて様々なDNAで導入できるように技術を改良できれば、海藻類が持つ機能を高めて温暖化対策やエネルギー利用などに役立てられる可能性がある。

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