レーザーテックが7日発表した2024年6月期の連結決算は、純利益が前の期比28%増の590億円だった。過去最高を更新した。半導体製造装置の納入が前倒しで進んだ。円安が想定以上に進んだことも追い風だった。
仙洞田哲也社長は同日オンラインで開いた決算説明会で、海外空売り投資家による不正会計の疑いを指摘するリポートに対し「不正会計の事実は一切ない」と改めて強調した。
前期の売上高は40%増の2135億円、営業利益は31%増の813億円とそれぞれ過去最高となった。生成AI(人工知能)向け最先端半導体の製造などに使う検査装置の販売好調が続いた。装置の保守などサービスの売り上げも大きく伸びた。
半導体関連装置などの受注高は2727億円と46%増えた。仙洞田社長は「最先端半導体向けを含む全方位で引き合いが集中した」と説明した。24年6月末の受注残は4621億円と3月末から676億円増えた。
25年6月期の連結売上高は前期比12%増の2400億円、純利益は25%増の740億円を見込む。通期の想定為替レートは1ドル=140円とした。1円の円安が営業利益を年約7億円押し上げる。配当は年288円と前期より58円増やす。
6月には海外の空売り投資家スコーピオン・キャピタルが収入や利益を過大に計上しているなどとするリポートを公表した。棚卸し資産の会計処理で完成品を意図的に計上しなかったり、棚卸し資産高が膨らんでいたりするなどと指摘した。
これに対してレーザーテク側は半導体装置の製品別の売上高や受注高を開示し「適切な会計処理を実施している」と反論していた。
レーザーテクは6月18日に社外取締役2人と外部専門家1人で構成する特別調査委員会を立ち上げて調査も進めてきた。特別調査委が物流担当者や経営陣への聞き取りや、棚卸し資産が適切に管理され在庫数量に虚偽がないかなど調査を進めた結果、8月6日に会計処理に不正は認められなかったとの調査結果を公表している。
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