ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長

情報・通信企業大手15社の有価証券報告書を読み解き、売上高や収益力、平均給与などをランキング形式で見ていく。今回は各社の2023年度の有価証券報告書を基に、1億円以上の報酬を得ている役員、「1億円プレーヤー」を一挙公開する。

15社で1億円以上の報酬を得ている役員は計73人だった。このうち、2億円以上は28人、3億円以上は18人、4億円以上は14人、5億円以上は11人、10億円以上は4人といった分布になっている。

1億円プレーヤーが34人と最も多かったのが日立製作所だ。22年度の20人から70%増となった。東京商工リサーチによると、日立製作所は全業種で最多。10年3月期に開示制度が始まって以降の最多人数を更新したという。

情報・通信企業15社で1億円以上の報酬を得ている役員の数(出所:有価証券報告書を基に日経クロステック作成)

15社のランキングに戻ると、2位はLINEヤフーの6人、3位はソフトバンクと野村総合研究所の5人、5位は楽天グループの4人となっている。TISだけが0人だった。

ソフトバンクグループの孫会長は73位

まずは41位以下の33人を見ていく。社長を中心に取り上げると、45位が大塚商会の大塚裕司社長(1億5500万円)、48位がNTTの島田明社長(1億3100万円)、66位がSCSKの當麻隆昭社長(1億400万円)、73位がソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(1億円)となっている。

情報・通信企業15社で1億円以上の報酬を得ている役員(41〜73位)。役員区分は在任時(出所:有価証券報告書を基に日経クロステック作成)

役員報酬は各社各様だが、基本(固定)+賞与+株式報酬で構成する企業が多い。賞与や株式報酬に業績連動を取り入れ、業績連動も短期と中長期に分ける企業が増えている。有価証券報告書に記載があるのはあくまで役員報酬であり、これとは別に配当収入もある。

例えばソフトバンクグループの孫会長は役員報酬が1億円と少ないが、自社株を29.11%(約4億2666万株、24年3月末時点)保有している。中間配当と期末配当を合わせた年間配当は1株当たり44円だったので、自社株の配当収入だけで約187億7300万円となる。別途、ソフトバンクなどの配当収入もある。

29位に楽天Gの三木谷会長

続いて21位から39位を見ていく。39位以上は1億6000万円超となり、25位にKDDIの高橋誠社長(2億1300万円)、26位にNECの森田隆之社長(2億400万円)、29位に楽天グループの三木谷浩史会長兼社長(1億9000万円)が登場する。

情報・通信企業15社で1億円以上の報酬を得ている役員(21〜39位)。役員区分は在任時(出所:有価証券報告書を基に日経クロステック作成)

トップは34億5800万円、2位は20億800万円

最後に1位から20位を見ていく。1位はソフトバンクグループのレネ・ハース取締役で、34億5800万円だった。同氏は英半導体設計大手アームの最高経営責任者(CEO)であり、23年6月からソフトバンクグループの取締役を務めている。2位はLINEヤフーの慎ジュンホ氏で20億800万円、3位はソフトバンクの宮川潤一社長で12億8200万円だった。

情報・通信企業15社で1億円以上の報酬を得ている役員(1〜20位)。役員区分は在任時(出所:有価証券報告書を基に日経クロステック作成)

各社社長に注目すると、4位にLINEヤフーの出沢剛社長(11億2000万円)、10位に日立製作所の小島啓二社長(6億700万円)、16位に富士通の時田隆仁社長(3億7800万円)が入っている。

20位以上を見渡して目立つのは外国人比率の高さだ。経営手腕のある優れた人材を海外から呼び込むには、高額報酬が当たり前の海外企業並みに報酬を上げなければならない。日立製作所に限らず、ソフトバンクやLINEヤフーの報酬の高さも目を引く。20位以内に入った人数は日立製作所が7人、ソフトバンクが5人、LINEヤフーが4人と、この3社だけで計16人になる。

(日経クロステック/日経コンピュータ 杉山千織)

[日経クロステック 2024年7月12日付の記事を再構成]

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