包括協力協定を締結した(左から)佐賀大学の児玉浩明学長、産業技術総合研究所の植村聖九州センター長、SUMCOの龍田次郎副社長(17日、佐賀県庁)

シリコンウエハーを手掛けるSUMCOは17日、佐賀大学と産業技術総合研究所(産総研)との包括協力協定を締結した。産官学で協力して、半導体シリコンウエハーの製造技術に関する研究開発や実証実験、ビッグデータやオープンデータの利活用や人材の育成・交流を推進する。佐賀県内や北部九州での半導体産業の発展に向けた組織的な活動を進める。

同日の締結式でSUMCOの龍田次郎副社長は「今年はAI(人工知能)元年と呼ばれている。半導体サプライチェーン(供給網)の中で、シリコンウエハーなしではロジックやパワーデバイス、AIも何もつくれない。全ての電化製品にAIが入っていく中で需要はあらゆるところにある」と語った。

同社は佐賀県内の半導体関連産業の基盤強化を図る協議体「さが半導体フォーラム」のメンバー。同様にメンバーである佐賀大、産総研九州センターとはそれぞれに既に協力関係にあった。

今回、3者で包括協定を結ぶことにより「協力して最先端の情報を共有し、生産にフィードバックしていく」(龍田副社長)狙いがある。また、半導体製造技術分野でのAI・データサイエンス分野およびスマートセンシング技術の向上にもつなげる。

佐賀県伊万里市などに工場を持つSUMCOでは、技術者の約9割が佐賀県内で勤務している。龍田副社長は、佐賀大や産総研との協力を通して「一緒に技術を開発し、AIを使った生産技術をしっかりつくっていきたい」と話した。

佐賀大の児玉浩明学長は今回の包括協定を通して「佐賀の発展と繁栄の礎となるように努めたい。産総研とは約30年前から連携している。SUMCOの協力も得て(佐賀大の学生にとっても)将来的に活躍・研究できる場にしたい」と述べた。

産総研の植村聖九州センター所長も「地域の半導体産業の競争力強化に向けた連合体の形成を目指している。佐賀の半導体産業の未来を築く第一歩だ」と語った。

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