信越化学工業は25日、43%強を出資する上場子会社の三益半導体工業を完全子会社にすると発表した。TOB(株式公開買い付け)で全株を買い取る。取得額は約680億円の見通し。信越化学が人材面、資金面で三益半導体を支援し半導体シリコンウエハーの安定供給体制を整える。

三益半導体株の買い付け価格は1株あたり3700円。25日終値は2732円で、35%の上乗せ幅(プレミアム)となる。日本と台湾の競争当局への手続きを経て、7月下旬めどに買い付けを始める。TOBが成立した場合、同社は上場廃止となる。三益半導体は同日、TOBへの賛同を表明した。

三益半導体は半導体シリコンウエハーの研磨加工などを手掛ける。2005年に信越化学が三益半導体株の27%超を取得し、06年に出資比率を40%超に高めていた。同日の決算説明の電話会議で、信越化学の斉藤恭彦社長は「連携を一層深化させるために最善と考えた」と話した。

完全子会社にして人材を相互活用するほか、信越化学が財務面で後ろ盾になることで三益半導体の資金調達コストの低減を見込む。生産や物流でも協力し、ウエハーの安定供給につなげる。

同社は三益半導体以外に、上場子会社の信越ポリマーの株式を53%超保有する。斉藤社長は信越ポリマーの完全子会社化の可能性について「(三益半導体と)同じようなことは考えていない」と話した。

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