京都大病院は30日、同性パートナーをドナー(臓器提供者)とする生体腎移植を同病院で初めて実施したと発表した。

 移植を受けたのは、慢性腎不全で透析を受けていた京都市在住の女性。

 国内では生体臓器移植は原則、日本移植学会の倫理指針で、6親等以内の血族(血縁関係がある人)と、3親等以内の姻族(配偶者と配偶者の血族)でしか認められていない。

 京大病院によると、今回は同性のパートナーが自由意思でドナーとなることを表明。事前に京大と同学会の倫理委員会の承認をそれぞれ受け、今年5月に移植手術が実施された。

 移植を受けた女性は手術後まもなくして透析をしなくてすむようになり、3週間後に退院した。2人はいずれも社会復帰しているという。

 執刀医の一人、京大病院泌尿器科の小林恭(たかし)教授はこの日の会見で「(親族間でなくても)移植医療の恩恵を受けられる可能性があることを知らない患者さんが潜在的にいる。手続きをしっかり踏めば、その恩恵を受けられることを知っていただければ」と話した。

 手術を受けた2人は「今までの実施例がない間柄の手術にもかかわらず、尽力いただき、無事手術を受けることができました。経過も良好で感謝しかございません。今回の移植の例を機に同様の境遇で移植ができないという判断の中であきらめていらっしゃる患者さんに、希望の光があたることになればうれしく思います」などとするコメントを病院を通して発表した。(桜井林太郎)

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