化学部門が入る北海道大理学研究院=札幌市北区で鳥井真平撮影

 北海道大理学研究院の化学部門で複数の准教授が「教授会によって組織的に孤立させられている」と訴えている問題で、同部門がこれまで教授のみに限ると説明してきた大学院生の研究指導を准教授や講師にも容認したことが、北大関係者への取材で判明した。従来の説明に根拠がなかったことが分かり、理学研究院が是正を指示したという。

 化学部門では、教授が退職や異動で不在となった研究室に残った准教授らは「旧スタッフ」などと呼ばれて区別され、研究を共にする学部生や大学院生が配属されない。

 その根拠として、部門の教授会に当たる講座委員会は、2007年に作られた内部文書を基に「博士課程の学生の主任指導資格(研究指導する資格)が認められているのは教授のみ」と教員会議で説明していた。

 しかし、北大関係者によると、10年に大学院の組織改編に伴い内規が新たに定められ、主任指導資格は教授以外に准教授と講師にも認められるようになった。今年7月、学内の指摘で07年の内部文書が有効でないことが判明し、旧スタッフの准教授を学生指導から外す根拠がないことが分かったという。

 これを受け、理学研究院は講座委員会に是正を指示。委員会は7月下旬の教員会議で、旧スタッフの准教授にも資格があったことを認めた。早ければ25年度から学生を配属する方向で議論しているという。

 講座委員会は取材に「教授が責任をもって学生の指導を行う体制をとっているが、体制を再検討しており、教員が安心して教育研究活動を行うことができる環境の整備に取り組んでいる」とコメントした。

 化学部門では、講座委員会が20年度、旧スタッフを対象に▽学生を配属しない▽居室を移動させる▽研究室業務を原則担当させない――などとする「内部基準」を作成。現在4人が旧スタッフの扱いを受けているとみられる。

 このうち複数の准教授が今年1月、「追い出し行為に当たる」として学内のハラスメント相談室を通じて理学研究院に陳情書を提出する事態になっている。【鳥井真平】

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