ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋(心臓の筋肉)細胞の塊「心筋球」を、心筋梗塞を発症したカニクイザルに移植したところ、心臓の機能が回復したと、信州大などの研究グループが26日発表した。従来の研究と比べ、不整脈の副作用が少なかったという。

研究チームは、心筋球を高用量移植するグループと低用量移植するグループに分けて観察。生理食塩水を投与したグループとも比較した。

心筋球を移植したサルでは、移植後1カ月以降、心筋細胞が組織に定着。心臓のポンプ機能を示す「左室駆出率」に改善が見られ、高用量グループは移植3カ月後で約13ポイント回復した。不整脈が起きたサルもいたが、14日目以降は確認されなかったという。

心筋梗塞などが重症化すると、数億個の心筋細胞が失われるが、ヒトを含む哺乳類は元に戻す再生能力を持っていない。研究グループの柴祐司信州大教授は「心不全を改善する治療法がより臨床的に現実的になった」と話している。

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