生成AIブームで米テック企業への投資マネーの集中が続いている=ロイター

【シリコンバレー=渡辺直樹】米グーグル親会社のアルファベットの時価総額が26日、2兆ドル(約315兆円)を突破した。前日の四半期決算を受け株価が急上昇した。これまで2兆ドル超えを達成したのは米アップル、サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコ、米マイクロソフト、米エヌビディアで、アルファベットは史上5社目となる。

アルファベットの株価は26日、前日比で一時、約1割上昇した。25日発表した2024年1〜3月期決算で純利益が過去最高となった。自社株買いに加え、初の四半期配当を実施することもあわせて発表し、これらを好感した買いが優勢となった。主力のネット広告や生成AI(人工知能)を使うクラウド事業の業績も市場予測を上回った。

米巨大テクノロジー企業ではマイクロソフトも26日、前日の好決算を受けて時価総額で3兆ドルを回復した。米企業では計4社が時価総額2兆ドル以上となり、アマゾン・ドット・コムも2兆ドルに迫っている。

マイクロソフト、アップル、エヌビディア、アルファベット、アマゾン、メタ、テスラを合計した米7社の時価総額は約13兆5000億ドル(約2100兆円)で、米S&P500種株価指数の採用500社全体の約3割を占める。東証の時価総額に比べると約2倍と急膨張しており、生成AIブームなどを背景に投資マネーが巨大テック企業に集中する構図が続く。

2022年11月に米オープンAIが対話型AI「Chat(チャット)GPT」を公開して世界各地でAIブームに火が付き、アルファベットはAIのビジネス搭載で後れを取った。生成AIの「Gemini(ジェミニ)」に開発リソースを集中して急速に追い上げている。

直近では1万人超の人員削減や事業集約でリストラにもメドをつけ、アルファベットの株価は1年で7割近く上昇した。1998年のグーグル設立から約四半世紀で年間売上高は3000億ドルを達成し、初の配当も決めた。今後は成長投資と株主への利益配分を両立する。

一方で巨大テック企業の肥大化には欧州連合(EU)や米連邦取引委員会(FTC)、米司法省が監視を強めている。巨額のM&A(合併・買収)や自社サービスの抱き合わせといった従来型の成長戦略は今後取りづらくなる。

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