狂言師の人間国宝、野村万作さん(93)は17日、東京・渋谷区の国立能楽堂で芸歴90年を記念する舞台「翁」の三番叟を演じました。

「三番叟」は祝いの席などで演じられ五穀豊穣を願う神聖な舞で、万作さんは20代の頃から演じてきました。

高度な技と身体能力が要求されるため、体への負担を考え、今回のために軽量化した装束も新たに作ったということです。

今回で三番叟は舞い納めにするということで、万作さんは舞台に臨むにあたって「93歳にまでなって若い時の芸の基本になるものをもう一度やって、自分を激励してやりたいと思い三番叟を選びました。不安はたくさんありますが、最後の舞台に力強い足拍子を踏んで元気に演技ができれば」と話していました。

本番では長男の野村萬斎さんや孫の野村裕基さんが舞台上で見守る中、大地を耕すような力強い足拍子で重厚な舞を見せ、およそ30分にわたり全身全霊で勤め上げました。

野村萬斎さんは「若い頃は父の三番叟に憧れて育ちました。現在の父の三番叟は古木に一輪二輪、花が咲くような境地で今の自分にはまねできない。一挙手、一投足に人生の積み重ねが見える究極の芸だと思う」と話していました。

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