浅尾慶一郎環境相は20日、アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で演説し、地球温暖化対策の資金動員について「能力のある国による貢献や民間資金の動員が不可欠だ」とし、先進国以外の国からの拠出が必要との見解を示した。
COP29は「ファイナンス(資金)COP」とも呼ばれ、2025年以降の途上国での対策のための資金目標額やドナー(出し手)の範囲が焦点だ。気候変動枠組み条約では先進国にのみ資金拠出を求めており、1992年の条約採択以降、経済成長著しい中国などの新興国や産油国には義務付けられていない。
浅尾氏は「25年までの5年間で官民合わせて最大700億ドル(約10兆8500億円)規模の支援実現に着実に取り組んでいる」と、日本の貢献について強調。「条約採択から30年以上が経過し、世界経済は大きく変化した。新たな資金目標はこの現実を踏まえたものとしなければならない」と訴えた。
日本国内では、30年度までの温室効果ガス排出削減目標や50年実質排出ゼロに向け、排出削減は「オントラック(順調)」に取り組んでいるとした。そのうえで、各国の事情に応じた多様な道筋の下で、ネットゼロ(排出実質ゼロ)を目指すことの必要性を各国に訴えた。【バクー山口智】
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