国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で成果文書草案を公表後、閣僚級会合に臨むババエフ議長(右から2人目)=アゼルバイジャン・バクーで2024年11月21日午後0時9分、山口智撮影

 アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で21日、途上国の地球温暖化対策を進めるための資金調達に関し、ババエフ議長が成果文書の草案を公表した。最大の焦点となっている2025年以降の目標金額については各国の意見を集約できず、空欄のまま示された。

 草案は20日までの閣僚級の交渉を踏まえて作成された。ドナー(出し手)を含む資金目標のあり方については、途上国、先進国それぞれの意向を踏まえ、大きく二つの選択肢が示された。

 いずれも具体的な金額の数値は空欄だが、年間「兆ドル」という規模が記載された。主に途上国側の意見を反映した選択肢では、先進国から途上国に対する無償資金の目標額も盛り込むとした。経済成長を遂げた新興国などを想定し「貢献する意思のある途上国に対して自主的支援を求める」との記載も入ったが、途上国による拠出額は目標総額に算入しないとされた。

 もう一方の選択肢は、目標の「兆ドル」レベルの金額は、途上国だけでなく世界全体での対策の資金を想定しており、「すべての資金源」から動員するとした。このうち、途上国向けの資金支援に関しては、「兆ドル」より1桁少ない規模を提示した。

 拠出された資金の使い道も焦点の一つとなっている。草案では、温室効果ガス排出削減策に資金が偏らないよう、「バランスのとれた配分を目指すべきだ」との文言が入った。

 資金を巡っては、現行目標の「年1000億ドル(約15兆5000億円)」を下限とすることは決まっており、途上国側からは年1兆ドル(約155兆円)以上の無償資金を求める声が上がっていた。

 議長国は草案公表に際し、「これは最終的なものではない」としつつ、「終盤に入り、バクーでの突破口が見えてきた」との声明を発表した。【バクー山口智】

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