日本特殊陶業は25日、東芝子会社の東芝マテリアル(横浜市)を約1500億円で買収すると発表した。2025年5月末に全株式を取得し、完全子会社とする。電気自動車(EV)向けのセラミック部材に強みを持つ東芝マテを傘下に収め、主力の内燃機関部品に代わる成長事業を伸ばす。

東芝マテはEV向けの軸受けに使うセラミック製のボールで高いシェアを持ち、パワー半導体向けの放熱基板なども手掛ける。日特は同じ分野の事業を育成しており、M&A(合併・買収)を通じて生産や販売面で競争力を高める。

1500億円という買収額は日特として過去最大規模となる。買収の原資は手元資金と金融機関からの借り入れで賄う。

日特は自動車エンジンに使う点火プラグの世界大手で、収益の大半をこうした内燃機関部品が占める。脱炭素化や自動車の電動化を踏まえ、EV分野など新規事業の育成を急いでいる。これらの新規事業の2025年3月期の営業損益は125億円の赤字となる見通しで、収益化が急務になっている。

東芝マテの24年3月期の連結売上高は345億円、営業利益が54億円で、経営不振が続いた東芝にとって優良な子会社の一つ。東芝は売却で得た資金を、23年の非上場化に伴う融資の返済などに充てる。

東芝は投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を中心とした国内企業連合による買収を受け入れて非上場化した経緯がある。日特もJIP陣営に参画し、500億円を拠出していた。

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