26日午前8時半ごろ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)で、開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の2段目エンジンが地上燃焼試験中に爆発した。推進薬などが周辺に散らばり火災が起き、約45分後に鎮火した。けが人はなかった。同型エンジンの爆発は昨年7月の能代ロケット実験場(秋田県)での試験に続き2回連続。今年度中に計画していたイプシロンSの打ち上げは絶望的になった。
JAXAによると、試験は2段目エンジンを2分間燃焼させ、推進力などを点検する目的だった。着火した10~20秒後にエンジン内部の燃焼圧力データが高まり、予想圧力6メガパスカルを上回る7メガパスカルまで上昇し、着火49秒後に爆発したという。ただし、設計上の許容値8メガパスカルは下回っていた。JAXAは原因究明を急ぐ考えだが、点検対象は約200項目に及び、再試験にこぎ着けるまでに少なくとも数カ月以上かかるとみられる。
昨年7月の爆発は、2段目エンジンの点火装置の金属部分が一部熱で溶けたことが原因と推定された。今回はその部分に断熱材を施し、事前に検証してから再試験に臨んでいた。記者会見した井元隆行プロジェクトマネジャーは「前回と原因が違うかもしれないし、見過ごしていた共通要因があるかもしれない。3度目はないので、徹底的に全ての対策をする」と語った。
大~中型の衛星を打ち上げるH3ロケットと並び、イプシロンは主に小型衛星を打ち上げる日本の主力ロケットの一つ。世界的に小型衛星の打ち上げ需要が高まっており、より安く高頻度に打ち上げられる小型ロケットの開発が待たれるが、イプシロンは2022年10月に6号機の打ち上げに失敗するなどトラブルが続いている。イプシロンSは現行機の改良型で、2段目エンジンなどを大型化して性能増強を目指している。【中村好見、鳥井真平】
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