【北京共同】人工知能(AI)で生成された自身の声を模した音声が文章読み上げソフトに無断で使用されたとして、中国の女性ナレーターが関連企業5社に損害賠償を求めた訴訟で、北京市の裁判所は4月下旬、人格権の侵害を認め、一部企業に25万元(約540万円)の支払いを命じた。国営中央テレビによると「AI音声」の権利侵害を巡る判決は中国で初めて。
AI技術の進歩によりビジネスや医療などさまざまな分野で活用が進む一方、日本や中国を含む各国でアニメ声優や著名人の声をAIに学習させて「クローン音声」(中央テレビ)をつくり、インターネット上に勝手に動画を投稿する事例が多発している。
中国の法律は「人間の声の保護は肖像権の規定に準じる」と定めており、訴訟ではAI音声も含まれるかどうかが争点となった。
4月23日の判決は「本件音声と原告の声色や語調はほぼ一致しており、本人と識別できる」と認定。人物特定ができる前提下で「声の権利」はAI音声にまで及ぶとの判断を示した。
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