熊本県は28日、熊本エリアで生活用水への依存度が高い地下水の保全に向けて2回目となる本部会議を開いた。大量の水を使用する半導体工場向けに、2027年度中に菊池市のダムの水を工業用水として利用する計画を明らかにした。約150億円を投じて浄水場や配水池、管路などを整備し、農業用パイプラインなどで工場が集積する菊陽町周辺に給水する。
同日明らかにした整備計画によると、浄水場の敷地面積は約3ヘクタールで、配水池の容量は約9万立方メートル。給水管は長さ約15キロメートルを見込む。日量で最大1万2000立方メートルの供給を想定しており、当面は日量6000立方メートルの送水から始めて段階的に引き上げる。
また、地下水位をリアルタイムで確認できる体制の整備として、12月下旬をめどに県内2カ所の観測井戸の水位をホームページで見られるようにする。地下水や河川、水道水有機フッ素化合物(PFAS)の水質検査も徹底する。
地下水量や地下水質の保全を進めるため、県は5月に地下水保全推進本部を設置。保全対策などの情報発信を進め、地下水枯渇への懸念に対して県民に理解を深めてもらう取り組みも続けている。木村敬知事は「半導体産業集積で地下水使用量が増え、県民には不安の声もある。今後の予算編成もつなげる」との考えを示した。
台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ県内で半導体産業集積が進むなか、「熊本の水道水の大半が地下水なのに水量を維持できるのか」と、地下水の保全や安全を懸念する県民は少なくない。24年末に量産を始めるTSMC熊本第1工場では、1日約8500トンの地下水を使う。地下水の有効利用を進めており、当初計画から3割減らしている。
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