西部ガスホールディングス(HD)は28日、液化天然ガス(LNG)の広域供給拠点「ひびきLNG基地」(北九州市)に貯蔵タンク1基を増設すると発表した。総事業費は約500億円で、2029年に運用を始める。製造業を中心に脱炭素に向けた取り組みが広がっており、企業のLNG需要がさらに伸びるとみて供給能力を拡大する。
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今回の投資額は、14年に稼働した同LNG基地の建設(約660億円)に次いで同社グループとして歴代2番目となる。加藤卓二社長は同日開いた記者会見で「ガス事業をもう一段高みに引き上げる投資だ。グループの飛躍の足がかりにしたい」と強調した。
同日開いた取締役会で決定した。増設するのは3基目の貯蔵タンクで、容量は23万キロリットル。LNGの貯蔵量は約59万キロリットルとなり現在から6割増える。25年1月から建設準備を始め、本工事の着工は25年夏を予定する。タンクのほかガス製造設備やタンクローリー用出荷設備なども増やす。
投資の原資は主に金融機関からの借り入れで賄う。建設費が高騰するなか、増設の可否を決めるために入札を実施すると3月に発表していた。
LNGは石炭や石油に比べ温暖化ガスの排出が比較的少なく、製造業を中心に工場の熱源をLNGに切り替える動きが出ている。引き合いは今後伸びる見通しで、産業向け需要を一段と取り込む。アジア向け輸出やLNG燃料船向けサービスといった海外ビジネスの開拓も狙う。
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