太陽表面で起きる爆発現象「太陽フレア」が8日から繰り返し大規模に発生していることから、国立研究開発法人「情報通信研究機構」は11日、全地球測位システム(GPS)の位置情報や無線通信などに障害が発生する恐れがあるとして注意を呼び掛けた。この影響で非常に大きな磁場の乱れ「磁気嵐」が発生。北海道や英国、中国など世界各地でオーロラが観測された。
同機構によると、最大級の「Xクラス」の太陽フレアが8日から11日までに計7回発生。11日午前10時23分に発生した太陽フレアは、その中でも最大規模だった。3日間(72時間)で7回のXクラスが発生したのは、観測史上初めてという。
太陽フレアが発生すると、エックス線などの強い電磁波や高いエネルギーを持つ粒子、電気を帯びたガス(プラズマ)が大量に放出される。このガスが磁場を帯びているため、地磁気が大きく乱れることがある。
茨城県石岡市の気象庁地磁気観測所では11日午前2時ごろから地磁気の乱れを観測し始め、乱れの大きさを表す変動幅は532ナノテスラに達した。500ナノテスラ以上の変動は1991年3月以来、約33年ぶり。この磁気嵐は数日続くとみられ、同観測所は通信障害が発生する可能性があるとしている。
オーロラも世界各地の中緯度帯で観測された。北海道名寄市のなよろ市立天文台では11日午後8時過ぎ、北の空が赤く染まる様子が確認された。
国立極地研究所の片岡龍峰准教授(宇宙空間物理学)は「地磁気の乱れは数十年に1度のレベル。太陽フレアの規模は数年に1度のレベルだが、連発したため、ふき出したプラズマが地球に来るまでに合体し、それだけ威力が増したと言える」と説明する。
情報通信研究機構によると、短波通信に障害が起きる「デリンジャー現象」が北海道、東京都、鹿児島県、沖縄県にある観測所で確認されている。この現象は、強いエックス線や紫外線によって地球の上空数十キロに分布する電離圏が乱れ、電離圏で反射される性質のある周波数の電波が影響を受けて起きる。【藤沢美由紀、池田知広】
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