漂流マイクロプラスチックの密度分布図。濃い紫色ほど密度が高いことを示す=「アトラス・オブ・オーシャン・マイクロプラスチックス(AOMI)」のウェブサイトより

 環境省は世界中の海面を漂う微小なプラスチック粒子の調査結果をデータベース化し、分布状況などを可視化したウェブサイトを公開した。プラごみ対策を進めるには実態把握が欠かせず、各国の対策強化などにつなげてもらうのが狙い。

 直径5ミリ以下の「マイクロプラスチック(MP)」は、生態系だけでなく人体への影響も懸念されている。環境省は各国の研究機関、研究者の協力を得て、漂流MPのデータベース「アトラス・オブ・オーシャン・マイクロプラスチックス(通称AOMI)」を構築。これまでに世界の海面約1万3000カ所の調査結果を集約し、調査地点や海域ごとのMPの密度を地図上に示した。北極域のような人の活動が少ないところでも汚染が進んでいる実態が一目で分かるほか、データが豊富な海域は経年変化も知ることができる。

 これまでは国や研究者によって漂流MPのモニタリング手法がばらばらで、海域ごとの調査結果を比較するのが困難だった。国内外の専門家による議論を経て、環境省は2019年、モニタリング手法の指針を公開。船で1~3ノット(時速約1・9~5・6キロ)の速さで進みながら約20分間、網で漂流MPを回収する手法を標準とし、AOMIはその手法で得られたデータを蓄積している。

漂流マイクロプラスチック調査実施箇所を示した図。調査の空白域が多い=「アトラス・オブ・オーシャン・マイクロプラスチックス(AOMI)」のウェブサイトより

 データを集約した結果、モニタリングの空白域も明確になった。日本や米国、欧州の近海は比較的データが多いが、インドやアフリカ、アラビア半島、南米大陸の周辺は少ない。周辺国で海洋プラごみ研究が進んでいないことが一因と考えられるという。

 日本はベトナムやインドネシア、中国と共同調査の実績があるが、世界的には調査を実施していない国も多いという。環境省海洋プラスチック汚染対策室は「データベースを活用し、調査が不足している海域の近くの国に調査協力を呼び掛けていきたい」と話す。

 AOMIのサイトはhttps://aomi.env.go.jp/(英語版のみ)。【山口智】

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