精子がつくられる際に「指令役」として働く遺伝子を、熊本大学などのチームがマウスを使った実験で発見した。この遺伝子がうまく働かないと、精子はできなかった。無精子症などの不妊症の原因解明などにつながる可能性がある。
チームは精巣で働く遺伝子のひとつ「HSF5」に注目。ゲノム編集技術でこの遺伝子を壊したマウスでは精巣が萎縮し、精子がつくられていないことがわかった。
遺伝子の働きかたを詳しく調べると、精子の頭部やべん毛といったパーツをつくる遺伝子など、約200の遺伝子を調整する役割を担い、「精子の形成プログラム」を起動させていることが明らかになった。
熊本大学発生医学研究所の石黒啓一郎教授によると、HSF5遺伝子はヒトのゲノムにもあり、似たような役割を果たしているとみられる。不妊症の中でも、精子がうまくできないといった男性不妊症の病態解明につながるという。
「HSF5は不妊の原因を調べる際の候補となり、診断に役立つと考えている」と話した。 論文は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。(https://www.doi.org/10.1038/s41467-024-47601-0)(杉浦奈実)
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