グーグルの広告担当幹部のヴィディヤ・スリニバサン氏は「AI検索と広告の関連性を高めていく」と話した(21日、米カリフォルニア州マウンテンビュー市)

【シリコンバレー=中藤玲】米グーグルは21日、生成AI(人工知能)による検索結果の近くに広告を表示するテストを米国で始めると発表した。検索結果に関連する商品の広告を出し、効果を確認する。利便性を高めることで他の生成AIサービスに流出することを防ぐ。

21日に米カリフォルニア州で開いた広告関連イベント「グーグル・マーケティング・ライブ(GML)」で、広告担当バイスプレジデントのヴィディヤ・スリニバサン氏が明らかにした。

グーグルは14日の開発者向け年次イベント「グーグルI/O(アイオー)」で、生成AIによる検索サービス「AIオーバービュー」を一般提供すると発表した。その回答一覧のすぐ近くに、検索広告やショッピング広告を試験的に表示する。

例えばグーグルの検索ボックスに「アイロン無しでどうやったら服のシワが取れる?」と文字で検索すると、AIが情報を集めて要約し、「シャワー中のバスルームにかけておく」などと解決策の一覧が表示される。その真下に「広告」と題し、ウォルマートなどで買えるシワ取りスプレーの広告が複数表示されるといった仕組みだ。

スリニバサン氏は「消費者は検索し直すことなく、クリックするだけで購入できる。より簡単に、より早く行動に移すことができる」と強調した。近く、スマートフォンで撮影した写真と似た形状のものを検索してくれる「グーグルレンズ」にもショッピング広告を表示する。

独スタティスタによると、グーグルの2023年のデジタル広告収入の世界シェアは約4割で最大手だ。検索にAIが浸透して効率化すれば、利用者のクリック数などが減って十分な広告収益を得られなくなるという見方があった。

AI検索で利用者が欲しい情報により合致した広告を提供することで、広告効果と利便性を高める狙いがある。

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