2019年11月の発表以来、特徴ある鋭角的なデザインやステンレス素材のボディで大きな話題を集めているテスラ サイバートラック。このたび海外オーナーのご厚意で、このカクカクピックアップにアメリカで初試乗した!!

※本稿は2024年5月のものです
文:木村好宏(キムラ・オフィス)/写真:キムラ・オフィス
初出:『ベストカー』2024年6月10日号

■海外オーナーのご厚意でアメリカの路上をドライブ

テスラ サイバートラック。平面パネルで構成されたような極めてユニークな外装デザイン

 日本でも実車が公開されたテスラサイバートラックは、アメリカでは2023年11月からデリバリーが始まっている。しかしテスラ社および販売店はメディアへの試乗車貸し出しなどを行っていないので、こちらでも試乗するチャンスは滅多にない。

 ところが今回、すでにサイバートラックを入手しているオーナーのご厚意で、短時間ではあるがドライブすることができた。

 全長5682×全幅2200×全高1790mmのボディは確かに大きく日本では話題になっていたが、アメリカのフルサイズピックアップとしては特に問題とするほどの大きさではない。

 ただしドライバーの頭の位置をトップにして平面パネルを張り合わせたようなデザインが非常にユニークで、圧倒的な存在感を持っている。

 気になったのは頑丈さを売りにしているステンレスパネルの鋭角的な合わせ目で、ドアやフランクを閉じる時には注意が必要である。さらに欧州では攻撃的なボディ構造が歩行者や他車との衝突時に問題があると判断されている。

 運転席に乗り込むとステアバイワイヤーを象徴するヨークタイプのステアリングホイール、そしてダッシュボード中央には18.5インチのタッチスクリーンがレイアウトされている。キャビン内の仕上げや材質はほかのテスラ車と同様で1000万円を超える価格のクルマには見えない。

 車内空間は日本でのミドルサイズセダン並みで大人4人でも充分快適なドライブが可能だ。またピックアップの重要なポイントである荷台の容量は約2000L。しっかりした作りの電動トノカバーで積み荷を保護でき、セキュリティの面でも安心である。

■大きさや重さはヘビー級だが動きは軽やか

大型センターモニターを装備し、シンプルにデザインされたインパネ。シートはヘッドレスト一体型デザインとなる

 試乗車は2基のモーターを搭載するAWDで最高出力600psと約102kgmのトルクを発生する。また自重は約3トン、積載量は1134kg、牽引能力は4990kg、航続距離は547kmと発表されている(詳細データを発表していないため、ここに挙げた数字は推定値)。

 こうしたオーバーサイズの重量や長さにもかかわらず動きは軽やかで、4輪ステアとステアバイワイヤーのおかげで取り回しもよく少なくともアメリカの街中では問題はなかった。

 しかし長く伸びたAピラーの根元で斜め前方の視界が大きく妨げられることで、交差点などでは注意が必要だ。一方で広々としたアメリカンハイウェイでは長いホイールベースそしてエアサスのおかげもあって快適なクルージングが楽しめた。

 今回は本格的なオフロード走行はできなかったが、郊外の未舗装路で285/65R20サイズのグッドイヤー製オールテレーンタイヤのグリップ力が見せたトラクションは素晴らしく、トレールドライブを楽しむことも可能だろう。

 アメリカでの価格は、このカリフォルニア在住のオーナーによればデュアルモーターのベース価格が8万2335ドル(約1235万円)、オプションを付けて10万1985ドル(約1530万円)だった。

■日本での発売はあるのか?

 日本での販売は未定だが、筆者はホモロゲーションの面で悲観的に捉えている。その最も大きな問題は鋭利な角を持ったボディ構造だ。歩行者保護対策のためのクラッシャブルゾーンを含め相当大掛かりな変更が必要になるだろう。

 それと並行してセールス面では、日本の免許制度ではこのサイバートラックを運転するのに大型免許が要求されることも大きなハードルになるに違いない。

●テスラ サイバートラック AWD 主要諸元
・全長×全幅×全高:5682×2200×1790mm
・車両重量:2995kg
・最高出力:600hp
・航続距離:547km
・最高速度:180km/h
・0-100km加速:4.3秒
・座席数:大人5人
・駆動方式:AWD
(北米仕様換算値)

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