これからどんどん暑くなる。最高気温の更新は依然として続いており今年も猛暑が予感される。が、自動車にもこれからの季節に気を付けて欲しいことがある、それがバッテリーあがりだ。実はバッテリーが弱まっている兆候もかなりある、そこで今回は夏本番前に予習をしていこう。

文:佐々木 亘/写真:Adobe Stock(トップ画像=tarou230@Adobe Stock)

■夏はバッテリーあがりが多い時期

バッテリーの健康状態チェックを怠ると、突然エンジンがかからなくなり、炎天下の中で何時間も待つということにもなりかねないのだ(tarou230@Adobe Stock)

 冬になると寒さでクルマのエンジンがかかりにくくなる、でも夏は暑いから大丈夫と思っていないだろうか。夏は気温が高すぎて、バッテリー液の比重が下がる(希硫酸濃度が低くなる)ため、バッテリーがあがりやすい時期なのだ。

 高温の車内を冷やすために、エアコンがフル回転するのも夏の特徴の一つ。暑さで弱り、電力を消費したのと同じ状態の弱ったバッテリーに、多くの電気を使うエアコンが追い打ちをかける。

 適切に走行して、充電と放電を行っているバッテリーなら良いのだが、週末しかクルマを動かさない・短距離走行が多い・渋滞の道路を走ることが多いといった条件が当てはまる場合は、こまめにバッテリーの状態を確認しておきたい。

 バッテリーの健康状態チェックを怠ると、突然エンジンがかからなくなり、炎天下の中で何時間も待つということにもなりかねないのだ。最低でも、今使っているバッテリーは、いつから使用しているのかを把握しておく必要はあるだろう。5年以上使っているようなら、新しいものに交換を検討してもいい頃だ。

■バッテリーが弱っている兆候を見逃すな

 バッテリーが突然死することもあるが、多くのバッテリーあがりでは、事前に何らかの兆候が見られる。

 エンジン始動時にセルモーターの回転が弱くなる、ヘッドライトが暗い、パワーウィンドウの動きが鈍い、ホーンの音色が変わるといったものが弱ったバッテリーに気付く事ができる代表例。こうした症状を確認した場合は、すぐに整備のプロへ点検を依頼してほしい。

 また、バッテリーがあがってしまい、ジャンピングスタートを行ったクルマは、バッテリー状態のチェックを早急に行って欲しい。一度上がってしまったバッテリーは、走行での充電では完全にもとの元気な状態には戻らない。再度あがりやすくなってしまうので、注意が必要だ。

 さらにバッテリーあがりは、バッテリー自体の劣化はもちろんだが、クルマ側の発電機(オルタネーター)の能力低下でも発生してしまう。バッテリー以外の部分も定期的に点検してもらい、クルマの良い状態を維持することが、バッテリー寿命を延ばし、楽しいドライブへとつなげてくれる。

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■ドラレコ搭載車やアイドリングストップ機能があるクルマは要注意

短距離走行を繰り返す場合や、クルマに乗る機会が少ないユーザーで、愛車にアイドリングストップが付いていたら、平時はあえて機能を停止してクルマを使うことをおススメしたい(HENADZY@Adobe Stock)

 アイドリングストップ機構は、バッテリーに負担を強いている。さらに高性能バッテリーを積まなければならないアイドリングストップ車のバッテリー寿命は、非搭載車の半分ほどと、交換サイクルも短い。

 最近ではあえてアイドリングストップ機構を非搭載にするクルマも増えてきたが、現在街中を走っているクルマの中には、かなり多くのアイドリングストップ機能付きのクルマがあるはずだ。

 短距離走行を繰り返す場合や、クルマに乗る機会が少ないユーザーで、愛車にアイドリングストップが付いていたら、平時はあえて機能を停止してクルマを使うことをおススメしたい。

 また、最近ほとんどのクルマについているドライブレコーダーも、バッテリーあがりを助長する可能性があるのだ。

 エンジンのON/OFFと連動して起動するモノならいいのだが、高性能なドライブレコーダーの中には、「駐車時監視システム」が付いていることがある。

 これはエンジンが停止していても、ドライブレコーダーが動き続け、24時間見張り続ける機能だ。これが弱ったバッテリーを痛めつける。クルマの状態によっては、機能停止を検討したい。バッテリーチェックと同時に、専門知識をもった整備士へ相談してみると良いだろう。

 最近のクルマには、昔と違って電気で動くものが数多く搭載されている。それだけバッテリーは酷使されているということだ。健康状態チェックはもちろん、車内での不要な電気を見つけ、こまめな節電も夏の時期には検討してほしい。

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