JAF(日本自動車連盟)が、チャイルドシートの推奨身長を140cm未満から150cm未満に改めた。でも身長150cmといえば、小柄な大人も含まれる。これって大人にもチャイルドシートに座れってことなのだろうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=polkadot@Adobestock)

■6歳未満の幼児を載せるときはチャイルドシートは義務!

6歳未満の幼児を載せるときはチャイルドシート(ジュニアシート)が必須(Yuzuru Gima@Adobestock)

 2024年8月18日、福岡県で路線バスと軽自動車が衝突し、軽自動車に乗っていた7歳と5歳の姉妹が、シートベルトによる腹部圧迫で死亡するという不幸な事故が起きた。姉妹は乗車中、ジュニアシートやチャイルドシートを使用していなかった。

 道路交通法にはチャイルドシートに関する条項があり、「自動車の運転者は、幼児用補助装置を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない」と定めている(第七十一条の三の三項)。道交法でいう幼児とは6歳未満の子どものことだ。

 とはいえひと口に「6歳未満の子ども」といっても体格や骨格はさまざま。そこで自動車に関わる各団体は、身長による目安を設けた。たとえば日本自動車工業会では、6歳以上であっても身長150cmまではチャイルドシートの使用を推奨している。

 いっぽうJAFには動きがあった。これまで身長140cmに満たない場合にチャイルドシートの使用を推奨してきたのだが、相次ぐ事故を受けてその身長を「150cm未満」に引き上げることを決定したのだ。

 しかし150cmといえば、小柄な大人も含まれる身長だ。JAFの判断はこうした小柄な大人も、チャイルドシートを着用せよということなのだろうか?

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■大人は自分自身で身を守ろう!

シートベルトは絶対にお腹にかけないこと。腰骨にひっかけよう(peopleimages.com@Adobestock)

 答えを先に述べると「ノー」だ。チャイルドシートは、あくまでシートベルトを正しく装着できない可能性がある幼児を補助するための道具だから、みずから座席やシートベルトを調整できる大人は、たとえ身長が150cm未満であっても適用外と考えるべきだろう。

 そこで大人は、もう少し本質的なことを覚えておきたい。身長に関わらず、シートベルトを正しく装着する方法だ。

 まず腰部のベルト。こいつは必ず腰骨にかかるようにすること。くれぐれもお腹にかからないように注意したい。

 ついで肩部。こちらはシートベルトが首にかからないように注意したい。鎖骨から肩にベルトがぬけるようになるように装着しよう。

 この時思い出したいのが、シートベルトの肩の固定位置は上下に調整できるということだ。現代の自動車は、少なくとも前席に関しては、このアンカー調整機能が付いている。

 小柄な人は、運転するときはもちろん、助手席に座るときもこのシートベルトアンカーを下げるようにしよう。さらにシート座面が上下に調整できるならば、座面をできるだけ高くしてシートベルトが首にかからないように調整すること。

 ちなみにシートベルトが首にかからぬよう、クリップなどでシートベルトの肩部分を留める人がいるが、まさかの時にはまったく役に立たないばかりか、危険でもあるので絶対に避けたい。

「エアバッグがあるじゃん」と思う人もいるかもしれないが、エアバッグは乗員がシートベルトを装着し、正しい姿勢で座っていることを前提に設計されている。まさかのときの安全の基本は、まずシートベルトから始まることを肝に銘じておこう。

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