モータースポーツシーンで活躍するホイールであるレイズのブランドが「gramLIGHTS(グラムライツ)」だ。中でも今回注目するのは、細身の10本スポークを備えた最新作「57NR」。放射線状に伸びるスポーク形状がシンプルで、かつ剛性が非常に高い本物志向のスポーツホイールという。その真価に迫っていく。

車のパフォーマンスを引き出す、トップクラスの剛性と軽量化を実現

RAYS『gramLIGHTS 57NR』/ グラスブラック(6NJ)

グラムライツには“Rシリーズ”と呼ばれる、末尾にRの付いたモデル群がラインアップされている。いずれもパフォーマンスを引き出すための、機能美を備えたスポーツホイールであることが共通点だ。最初に登場した5本スポークの57CR、バランスの良い6本スポークを備えた57DR、ドリフト競技でのタフユースを念頭に設計された2×6スポークを持つ57XRとバリエーションを増やし、最新モデルとして登場したのが10本スポークの57NRだ。

10本スポークというオーセンティックなデザインを持つ57NRだが、数々の新技術を投入した先進のモデルとなっている点に注目。デザイン性と機能性を併せ持つモデルとして、多くのファンにアピールするのはそんな設計のなせるワザなのかもしれない。

RAYS『gramLIGHTS 57NR』/ ダークブロンズ(JPJ)

57NRの大きな特徴は、まず剛性の高さだ。Rシリーズの中でもトップとなる高剛性を誇る同モデルは、車重が重く大パワーを備えたハイパフォーマンスマシンの足もとに相応しいホイールとしてプロデュースされた。

もちろん軽量であることもスポーツホイールには欠かせない要素であることから、軽さと強度を併せ持たせることができることからも10本スポークを採用したのだった。

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

剛性を高める工夫のひとつが、そのスポーク形状にある。エッジの立ったスクエア形状のスポークはいかにも質実剛健なイメージ。加えて天面に対して、奥行き方向に長さを確保する断面形状を持つことで、正面から見るとスリムなスポークデザインを持ちながら、しっかりとスポークによる強度を備えるのもこのデザインならではの特徴だ。

そんなシャープなフォルムを持つ10本スポークのデザインは、実は同社のボルクレーシングでヒットモデルとなっている「CE28N-Plus」の系譜を受け継いでいる技術でもある。その証となっているのが、57NRに付加されている“N”のネーミングなのだ。

進化の重要キーワードは『C-FORM』と『H.S.PLUS』、強度を高めるための新手法を採用

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

さらにウェル部に施された“C-FORM”と呼ばれる造形処理も、強度を高める効果がある。そもそもスポークとスポークの間に開口部分は強度が弱くなる。そこで路面からの力を受け止めるために、スポークとスポークの間のウェル部にC-FORMを採用した。外側から見るとU字形状にえぐられた軽量化のためのデザインにも思えるのだが、実は両サイドを山型に盛り上げることで強度を高める構造なのだ。

C-FORMのネーミングは、断面がチャンネル(channel)構造を意味していることから名付けられていることからもその機能性が伺いしれる。実はこの技術は、ル・マン24時間レースを走るレーシングマシーンに装着されたレイズのホイール「RW-LMH MF21」から着想を得ている。ホイールのウインドウ面積の調整や表面処理の試行錯誤を重ねたところ、ウェル部の構造が強度に大きく影響することを見つけ出しその後も研究を続けた結果C-FORMが生み出されたのだ。

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

さらに57NRの強度アップの秘密は、外側からは見えない部分にも及んでいる。それが“H.S.PLUS”と呼ばれる工法だ。これはインナーリムに対して特殊な工法で力を加えて引張応力と圧縮応力をバランスさせ、重量を増やすことなくインナーリムを強化する。

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

ただしインナーリムを見ただけでは素人には処理の様子はほとんど判別できないのだが、確実に強度を高める技術として採用されている。

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

またドリフトの世界でリクエストの多い、空気圧を下げたタイヤがビード落ちすることを軽減する“EH2+のハンプ形状”を採用。装着したタイヤが大きなトラクションを受けた際にズレる現象を抑えるための処理としてビードシートへのローレット加工も両側に施した。これらのディティールはリアルなレーシングシーンで戦えるホイールならではだ。

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

オーセンティックな10本スポークを採用する57NRだが、リムフランジの一部を切り欠いた上でRAYSのロゴを配置するデザインなど斬新な処理を施しているのも見どころ。

また新色としてラインアップされたグラスブラックは、ガラスの割れた破片をちりばめたようなフレークが輝くカラーリング。ダークブロンズと合わせて同モデルを盛り上げるラインアップとなっている。

ドリフト競技で通用するリアルレーシングスペック、57NRは10年先を行く

D-MAX RACING TEAM 横井昌志選手

そんな57NRをはじめとしたグラムライツのホイールを、ドリフトの世界で実際に使用しているドライバー達にその魅力についてインタビューした。D-MAX RACING TEAMでD1GPを戦う横井昌志選手は、今シーズンから57NRを履いて参戦しているドライバーだ。57NRを履いた印象や長所についてうかがってみた。

「縦方向、横方向の剛性が高くハンドリングに対する応答性が良いのが魅力です。自分の走り方の傾向としてパキパキとクルマを動かして操作するドライビングスタイルなので、このホイールの特性はすごく自分の走りに合っていると感じています」

D-MAX RACING TEAM S15 SILVIA

「またタイヤの空気圧を落として走ることも多いのですが、ビード落ちすることもなく非常に安心して走れるのも良いところです。おまけにデザインもリムのある10本スポークって落ち着いていて良いですよね!」

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ!レーシングから、同じくD1GPに参戦中の山中真生選手は57DR、57CRなどのグラムライツの各ホイールを経験してきた選手。山中選手にはグラムライツの魅力について話をうかがった。

ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ!レーシング 山中真生選手

「ドリフトを始めてからずっとグラムライツのホイールを使っています。レイズの良いところはJ数やなどに細かく対応してくれることです。コースに応じてなのですがタイヤをムッチリさせて面圧を稼ぎたい場合にJ数を変えて対応するのですが、その都度対応してもらえるのですごく助かっています」

ウエインズトヨタ神奈川×俺だっ!レーシング GR SUPRA

「また耐久性の高さやビード落ちしない性能やローレット加工など、ドリフトで使う上で欠かせない要素をすべて備えているのもグラムライツの魅力だと思います」

RAYS『gramLIGHTS 57NR』

ドリフトなどのモータースポーツシーンで用いられることも多いグラムライツのホイール。中でも今回取り上げた57NRは新技術を投入したモデルとして、高いパフォーマンスを発揮することも確認できた。そこには「10年先のグラムライツを見据えたホイール設計になった」と同社の開発陣が自負する言葉の意味がよくわかった。そんな『グラムライツ 57NR』は、今後のグラムライツのRシリーズのフラッグシップに君臨する新たな定番モデルとなるだろう。

“10年先を行く”究極のホイール!
『gramLIGHTS 57NR』の詳細はこちら

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。