秋田市の大森山動物園の雌のアフリカゾウ「リリー」が6月にふるさとに旅立つ。26日に開かれた「お別れ会」では、多くのファンがリリーとの別れを惜しんだ。一方で、大森山動物園には20年以上県民から愛されてきた「花子」が戻ってくる。

大森山動物園で、来園者から人気を集める雌のアフリカゾウ「リリー」。繁殖を目指して大森山動物園にやってきたが、6月3日にふるさとである宮城・仙台市の八木山動物公園に帰る。

26日に開かれた「お別れ会」には多くのファンが集まった。リリーには、野菜に果物、大好物の桜の枝がプレゼントされ、勢いよく口に運んでいた。

訪れた子どもは「仙台に行くのが悲しい。何かを乗せて歩いているところがかわいい」「大森山動物園のことを忘れないでほしい」などと話していた。

 大森山動物園(ゾウの飼育担当)・山上昇さん:
「初対面から非常に人に慣れていて、人見知りをしないゾウだった。接しやすかった、リリーのおかげかなと思う。賢くて利口で、あまり怒ったことがないので、すごく飼育しやすかった」

大森山動物園、八木山動物公園、盛岡市動物公園は2018年、連携してアフリカゾウの繁殖を目指すことを決めた。

それに基づき、大森山動物園の「花子」と「リリー」を交換することになった。

当時、大森山動物園には雄の「だいすけ」がいて、リリーとパートナーとして過ごした。しかし、だいすけは2021年に死んだ。また、2022年にはリリーが体調を崩してしまった。

 大森山動物園(ゾウの飼育担当)・山上昇さん:
「これはちょっとな…と一瞬見た時に目を疑ったが、自力で立とうとしても立てなかったので、『これはすぐに助けないと』ということしか頭になかった」

リリーを何とか助けようと、ふるさとの八木山動物公園と連携しながら職員が奮闘。約2年かかったものの、リリーは無事に回復した。

アフリカゾウの繁殖の適齢は15~35歳といわれているが、リリーは現在推定35歳。「今後の繁殖は難しい」と判断された。今後はふるさとで過ごすため、八木山動物公園に戻る。

別れは寂しいが、大森山動物園には6年ぶりに「花子」が帰ってくる。

 大森山動物園(ゾウの飼育担当)・山上昇さん:
「秋田に来たら、今まで以上に愛情を持って『過保護じゃないの』と言われるくらい丁寧により一層、花子を見守っていきたいなと思っている」

花子は、6月5日に大森山動物園に到着する予定。

国内の動物園などで飼育されているアフリカゾウは、2023年時点で24頭。今回は「繁殖」の成果は出せなかったものの、花子とリリーは、その愛らしい姿で多くの人を幸せな気持ちにさせたことは間違いない。それぞれのふるさとで「おかえり」「お疲れさま」と声を掛けてあげたい。

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