特許庁の「地域団体商標」を取得したみそだれで味付けした鶏肉を網の上で焼く「松阪鶏焼き肉」=Do it!松阪鶏焼き肉隊提供

 松阪は「牛」だけじゃない――。みそだれで味付けした鶏肉を網の上で焼いて食べる「松阪鶏焼き肉」が、特許庁の地域団体商標を取得した。三重県松阪市のNPO法人「Do it!松阪鶏焼き肉隊」が、地域のブランドを守ろうと申請した。松阪市の関連では「松阪肉」「松阪牛」に続く登録で、森下桂子代表(43)は「肉のまち松阪として、全国に発信していきたい」と意気込みを示している。

「松阪鶏焼き肉」どんな料理?

 牛肉に比べて安価な鶏肉を使い、甘辛いみそが特長の鶏焼き肉は、長く地元で親しまれてきた。2010年には市民の有志で立ち上げた同隊が町おこしの起爆剤にしようと、「松阪」を冠して正式に名付けた。

 森下代表らは定義に沿って公認した店舗のパンフレットを作成し、ご当地グルメとしてPR。23年11月に四日市市であった「東海・北陸B―1グランプリin四日市」では、グランプリに輝いた。

竹上真人市長(左)と「松阪鶏焼き肉」の商標登録証を手にする森下桂子代表(中央)=松阪市役所で2024年5月24日午前11時14分、下村恵美撮影

認知度アップもブランドにブレ

 認知度が上がる一方で、「松阪鳥」と誤って表記されたり、定義の「網焼き」で提供されていない店が出てきた。模倣されることを危惧した同隊は松阪鶏焼き肉のブランドを守るため、必要な法人資格を取り、勉強会を重ねるなどして地域団体商標を申請。4月17日付で登録された。

 松阪鶏焼き肉は、同隊が公認した市内や多気郡の協力店と市外にある認定店の計20店で提供されている。公認しない店で同じ料理名を使用しているケースがあり、同隊は今後公認の店を増やしながら、定義に合った松阪鶏焼き肉を広めたいとしている。森下代表は「みんなでブランドを保護しながら、肉のまち松阪を盛り上げたい」と話した。

 24日には、地域団体商標取得の報告のため、松阪市役所を訪れた。竹上真人市長は「全国に松阪鶏焼き肉を広めてくれてありがとう」と感謝の気持ちを述べた。先日、松阪牛が生産区域ではない四日市市のふるさと納税の返礼品として扱われたことに触れながら、「制度にはすきまが出てくるし、ブランド保護はすごく難しい」と法人の取り組みを評価。森下代表は「商標を取得して『マナーを守ってね』と言えるようになった。ブランドを保護しながら、全国へ発信し続けたい」と笑顔で応えた。【下村恵美】

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