日々、昼夜問わずニュースを追う記者たち。彼らが中でも楽しみにしているのが食事のひとときだ。通常に比べてはるかに大きい寿司やワッフルから、2度の豪雨を乗り越えて復活したうどんまでストーリー豊かな店に記者は惹きつけられる。町の隅々まで駆け回った地元記者だからこそ知る名店を紹介したい。
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客の好みに応じたメニューも!想い引き継ぐ食事処/宮崎
宮崎で地元記者がおすすめする店は、JR南宮崎駅にある「お食事処ライオン」。決して華やかではない、どこにでもある食事処であるが、歴史ある店ならではの懐かしさや、人の優しさを感じられる店だ。
「ライオン」は、旧国鉄の日本食堂 宮崎営業所で料理人をしていた中西幸一郎さんと、車内販売などを務めていた米子さんの夫婦が、日本食堂から経営を引き継ぎオープンした。幸一郎さんが修行していた東京の店にちなんで、「ライオン」と名付けたという。
出張や観光で宮崎を訪れる人、そして地元の常連さんも足しげく通う店になっていたが、2022年、米子さんが80歳になったことをきっかけに引退を決意。2人は“閉店”ではなく、店を引き継ぐ人を探すことにした。
この記事の画像(17枚)店を引き継いでもらう事になったのは、近くで弁当店を営んでいた秋丸浩司さん。夫婦の想いと常連客の想いが詰まった店を引き継ぐのは、かなりのプレッシャーだったという。
それもそのはず。
米子さんは常連客の顔を見るだけで、注文を取ることなく食事を出していた。しかも「肉が嫌い・魚が嫌い」「ごはん多め・少なめ」など客ごとの好みを把握し、その人に合わせて「おまかせ定食」を出していたのだ。
「閉店前の1週間、お客さんがあいさつにすごく来られるので、プレッシャーでした。ただ、その人達をつないでいく事も僕の使命と思っている」(秋丸浩司さん)
「ライオン」という店名は、現在もそのまま使われている。中西夫妻の歴史を大切にすると同時に、店に思い入れのある人たちが来てくれるからだと秋丸さんは話す。
事業承継から間もなく2年。店を訪ねてみると、変わらぬ空間がそこにはあった。「おまかせ定食」(700円)「チキン南蛮」(900円)をはじめとする定番メニュー。和気あいあいと話をするグループ客。会計を終えた常連客に「気を付けて行ってきてね!」と声をかけるお店の女性。
40年に渡ってお客さんのお腹と心を満たしてきた中西さん夫婦の想いは、しっかりと引き継がれていた。そんな食事処の歴史に思いをはせながら、地元の人たちの温かいやり取りを見てみてはいかがだろうか。
(テレビ宮崎)
《お食事処ライオン》
住所:宮崎県宮崎市東大淀2-2-29
特大のネタ!待望の復活を果たした寿司/大分
大分で地元記者がおすすめする店は、魚の宝庫・豊後水道に面し、水産業が盛んな佐伯市を代表する寿司店「錦寿司」。
新型コロナの影響で閉店したものの、この春、復活を果たした。
「錦寿司」の創業は1975年。地元の海の幸を使いネタが新鮮なのはもちろん、通常サイズのものと比べると違いは一目瞭然だ。
また、ニシキゴイをイメージした「飾り寿司」も提供される。インパクトや繊細さのある寿司が人気となり佐伯を代表する店となった。
しかし、新型コロナの影響で状況は一変。
客足の落ち込みなどで事業を断念し、2022年4月に惜しまれつつ閉店した。
それから2年。大分県内で観光農園などを営む事業者が経営を引き継ぎ、4月15日に待望の再オープンを果たしたばかりだ。
再び錦寿司で寿司を握る岩佐勝義さんは「握るのは何十年もやっているからすぐできるけど、やっぱり実際に握ってみて感無量」と嬉しそうに話す。
第2章が幕を開けた「錦寿司」。当時と変わらない活気でこれからも地元の食を盛り上げる。
(テレビ大分)
《錦寿司》
住所:大分県佐伯市日の出町1−6
モッチモチ!顔と同じ大きさの超ビッグワッフル/長崎
長崎で地元記者がおすすめする店は、大正時代から佐世保市民の台所として親しまれてきた「戸尾市場」に、2年前にオープンした「ABERDEEN HONG KONG WAFFLE」。顔ぐらいの大きさでモチモチ感がクセになる香港ワッフルだ。
卵のような形をしているのでエッグワッフルともいわれ、香港で人気のスイーツ。
ワッフルを作っている香港の牧師・チェンさんは、明るいキャラと香港スイーツで地元の人を中心に付近の企業で働く女性に人気を集めている。
子供の顔と同じくらいのビッグサイズでかぶりつきたくなること間違いなし。
味はプレーン・チーズ・抹茶などを定番に、季節に応じて期間限定の味も登場するので通い詰める人も少なくない。
チェンさんは、貧困に苦しむ子供たちのための「こども食堂」として香港の総菜が入った弁当も定期的に提供している。
(テレビ長崎)
《ABERDEEN HONG KONG WAFFLE》
住所:長崎県佐世保市松川町1−10
夢追い続けた店主が握る寿司/熊本
熊本で地元記者がおすすめする店は、「鮨と馬刺し、時々肴 きむら」。熊本市の繁華街で人気居酒屋を7年営んだ店主が、「長年の夢を叶えたい」と新たに挑戦を始めた店だ。
2024年4月にオープンし、城下町である熊本市中央区新町の熊本市電通り沿いに建つ。
23歳のころから飲食店で働き始めた店主の木村将吾さんは、寿司職人から最初に料理を教わった。2016年には自分の居酒屋を開店するも、「いつかは自分の店で寿司を握りたい」と思っていたという。
そんな木村さんが自分の夢を叶える場所に選んだのは、2021年にコロナ禍で従業員の給料を支払うために開店した唐揚げ店があった新町だ。
ネタは熊本市の田崎市場と天草市の本渡市場から仕入れ、九州近海のものが中心となっている。
おすすめは馬うにぎり(1貫850円・時期変動)。
この店では、シャリには赤酢や米酢ではなく黒酢を使用し、少し甘く感じられる味にしている。口に入れるとほろっとほどけるようにあえて柔らかく握っているそうだ。
1階は和の雰囲気を重視したカウンターのみの6席。2階はステンドグラスのライトが輝くなどモダンな雰囲気がテーマとなっていて、2階の窓からは熊本市電が走る風景も見ることができ、ゆっくり食事を楽しめる。
寿司をつまみながらカウンター越しに、木村さんとの会話も楽しんでほしい。
(テレビ熊本)
《鮨と馬刺し、時々肴 きむら》
住所:熊本市中央区新町3-1-26
専門店じゃないのにこだわりの博多和牛ラーメン/福岡
福岡で地元記者がおすすめする店は、ラーメンにも挑戦し始めた柳川市の精肉店「清柳食産」だ。
福岡の王道ラーメンと言えば「とんこつ」だが、最近は醤油ラーメンに塩ラーメン、フレンチ風まで、いわゆる「非とんこつ」ラーメンを提供する店も続々とオープンしている。そんな中、さらなる新風が巻き起こっているのが、今回紹介するような「非専門店」のラーメンだ。
「清柳食産」は、博多和牛を中心に牛肉を仕入れ、客のオーダーに応じて、大きな部位からカットして販売するこだわりの肉店だ。
店内にはイートインスペースがあり、ランチタイムは博多和牛をたっぷり使ったカレーなどが大人気。
しかし、ラーメンが大好きという堤清美社長のもと、満を持して去年から売り出したのが「博多和牛炙りステーキチャーシューらーめん」(1320円)。
「エンガワ」という和牛のアバラ部分にあたる希少部位をじっくり煮込み、最後は炙って仕上げる分厚すぎるチャーシュー。
牛スジやテールなど様々な部位で出汁をとった、透き通ったスープに、中太のちぢれ麺を合わせた一杯だ。
取材した記者によれば、「スープは牛の旨味がまずガツンと来て、でもさっぱりとした後味。少し弾力のあるタイプの中太麺に肉の旨味がしっかり出たスープがよく絡んで、他にはないラーメンだ」という。
そして、インパクト大の炙りステーキチャーシューについては、「柔らかい!脂の甘みと炙ってある香ばしさと、こんなチャーシュー食べたことない。ステーキとチャーシューの中間と言うか、ほろほろっと口の中で身がほどけていっておいしい!」とコメントしている。
精肉店の作るラーメン、試してみたらあなたもやみつきになるかもしれない。
(テレビ西日本)
《清柳食産》
住所:福岡県柳川市沖端町82
朝5時から鮮魚味わえる!海外客にも人気の海鮮食堂/鹿児島
鹿児島で地元記者がおすすめする店は、鹿児島市の「市場食堂」。創業約70年、文字通り市場の中にあるが一般客も来店OK。競り落とされたばかりの魚が朝5時からリーズナブルな価格で味わえると国内外の客に好評だ。
特におすすめしたいのが「首折れサバ刺し定食」(1600円)。一般的なしめさばと違い、鮮度を保つため取ってすぐに首を折り血抜きした新鮮なサバの刺身。プリプリの食感は一度食べたら忘れられないが、天候によっては一日に数匹しか入荷しないことも。運も味方につけないと味わえないレアものだ。
幅広い年代の人が注文するのが「刺身定食」(1800円)。タイやマグロ、キビナゴなどその日の仕入れ状況に応じて8種類の魚が楽しめる。
揚げたて、サクサクの衣に包まれたふわふわの「あじフライ定食」(1000円)は朝から食べても重くない。
仕入れの業者のみならず観光客にも人気のこの店。「朝ご飯がおいしい」とタクシーの運転手に聞いて訪れる人も。台湾、香港、韓国に加え、時にはフィリピンからの観光客もいるという。山下司社長は「海外の人は日本の魚がおいしいと言う。新鮮だからね。たくさん食べて元気を出していければいいですね」と語る。
鹿児島の台所の活気を感じながら絶品の海の幸を堪能できる「市場食堂」。本当は教えたくないけれど、鹿児島での“朝活”にオススメだ。
(鹿児島テレビ)
《市場食堂》
住所: 鹿児島県鹿児島市城南町37
製麺機使えない致命的な被害も!2度の豪雨乗り越え復活したうどん/佐賀
佐賀で地元記者がおすすめする店は、1979年創業の老舗、佐賀・武雄市の「かま蔵うどん」。
名物は「カレーごぼう天うどん」(850円)だ。
実は、2019年の佐賀豪雨で店が浸水し、その後、同じ場所で営業を再開するものの、営業再開からわずか2年後の2021年、再び豪雨が店を襲う。2度目の浸水では、うどん店の心臓ともいえる製麺機が使えなくなる致命的な被害。惜しまれつつも閉店を余儀なくされた。
しかし、復活を求める常連客の声に背中を押された店主は営業再開を決意。約5キロ離れた場所に移転し、2年半ぶりに営業を再開した。リニューアルオープン当日には復活を喜ぶ客で賑わった。
店主は「気軽にラフな格好で食べに来ていただきたい」と話す。
昔ながらの懐かしい味に舌鼓を打つ常連客が絶えない人気店だ。
(サガテレビ)
《かま蔵うどん》
住所:佐賀県武雄市武雄町大字昭和84番地
※2024年5月時点の情報です。
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