日々、昼夜問わずニュースを追う記者たち。彼らが中でも楽しみにしているのが食事のひとときだ。屋台文化を継承し、形を変えて再出発した餃子店から、「出したらすぐ食べてほしい!」とのこだわりを持つシェフが作る土鍋オムライスまで、ストーリー豊かな店に記者は惹きつけられる。町の隅々まで駆け回った地元記者だからこそ知る名店を紹介したい。

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「屋台文化をなくさない!」店舗型で再出発した餃子/高知

高知で地元記者がおすすめする店は、「松ちゃん」。5月9日に高知市廿代町にオープンした店は、3月に撤退した“人気屋台”が店舗型として復活したもの。店主の思いは「屋台文化の継承」だ。

「松ちゃん」の薄皮餃子(1人前700円)※写真は2人前
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「松ちゃん」の看板メニューは、皮はパリッと、中身は熱々、具だくさんの香ばしい薄皮餃子(1人前700円)。高知の城下の酔客たちは、「この味でシメを」と通称グリーンロードの“屋台街”にあった「松ちゃん」を訪ねたものだ。

元は屋台街に店をおいていた「松ちゃん」

しかし、この屋台街は、実は40年もの間“無許可”が黙認された状態で営業が続いていた。悪臭や騒音に悩む住民団体からは屋台の撤去を求める声が上がっていた。高知市は屋台街の移転を模索したが、周辺の同意が得られず断念。3月末をもって、営業していた10の屋台に営業停止を求めた。屋台街がこの地にできた頃から続いてきた屋台「松ちゃん」だが、この方針に従い、撤退することを決めた。

店舗型となって復活した営業初日の「松ちゃん」の店内

再出発初日を迎えた「松ちゃん」を訪れると、店内には屋台の面影が残っていた。屋台で使っていたやぐらなど設備の一部を再利用。屋台の雰囲気を残そうと、テーブルはあえて質素な長机を新調。懐かしさを感じさせる丸い椅子を並べた。

初日は午後7時の開店からほぼ満席の状態。店内では乾杯を繰り返す客の姿が。沖縄からやってきたという男性は「屋台をなくしてほしくないな。旅の楽しみの1つなので」と、この夜初対面の地元男性らと笑顔で語らっていた。
(高知さんさんテレビ)

《松ちゃん》
住所:高知県高知市廿代町1−1

親子3代でつなぐうなぎ 創業者は名店「久兵衛」で修行/愛媛

愛媛で地元記者がすすめる店は、松山市のうなぎ店「うな一」だ。

1987年(昭和62年)から営業。自社ビルの2階の入り口をくぐるといつも朗らかに迎えてくれるのが、店主3代目の三井保徳さんだ。

宮崎から厳選して仕入れたうなぎを、一度蒸してから焼く「関東風」で提供。38年間継ぎ足してきた秘伝のタレが、食欲をそそる香りとともに、ほくほくに仕上がったうまみたっぷりのうなぎを引き立てる。

「うな一」のうな重【上】(3800円)

このうなぎ店の創業者は初代で父親の清忠さん(故人)。東京銀座の名店「久兵衛」で修業。その修業時代に食べた関東風のうなぎに感動したという。

松山では最初、寿司店を営んでいたものの、当時は松山でも珍しかった関東風のうなぎを広めようとうなぎ店に転身した。修業時代には北大路魯山人の魅力にはまり、店内には皿が飾られている。

2代目は母親の京子さん。気さくに顧客に話しかけ明るい人柄で30年間店を守り抜き、去年引退して保徳さんに店のバトンを渡した。

保徳さんが脱サラして見習いを始めたのは、5年前。この間にコロナ禍があり、客足は減少。客足が戻っても母親の京子さんに付いていた常連客の一部が離れたこともあったという。このためウーバーイーツやインスタなども始めて新たな客を開拓し、客足の維持に努めている。

また、うなぎ職人の格言にある「串打ち3年 裂き8年 焼き一生」の中でも特に「焼き一生」を実感。うまさを引き立てる焼き方を研究している。

38年間守り続けてきた味を引き継ぎ、3代目はきょうもうなぎをさばいている。
(テレビ愛媛)

《うな一》
住所: 愛媛県松山市湊町4丁目5−1 三井ビル 2階

フワフワシュワッ!ノリのいいシェフが作る土鍋オムライス/愛媛

愛媛でもう一軒地元記者がおすすめする店は、松山市中心部、閑静な住宅街の一画にある「KITCHEN加藤 by桜秋桜」。まさに知る人ぞ知る激ウマメニューが揃うフレンチの店。

ご紹介する“土鍋オムライス”はまさに絶品そのもの!

「上にのる卵を割るとふんわりトロッといただけるオムライスとは違うんですね?」と聞くと、オーナーシェフの加藤良二さんは「まぁとにかく食べてみたらわかりますわ」とニンマリといたずらっぽく笑いながら立ち上がった。

「KITCHEN加藤 by桜秋桜」オーナーシェフ・加藤良二さん

気取らないアットホームな店としても人気!と聞いていた理由がドンドンわかってくる。

「今から作りますけど、食べるのは時間との勝負ですからね!出したらすぐ食べてくださいよ!すぐですよ!」と厨房に向かいながら何度も振り返りつつ繰り返す感じは、まさに大阪のノリそのものだ。

「KITCHEN加藤 by桜秋桜」の特製ふわとろオムライス(1320円)

出てきたのは、オムライスと聞いていなければわからない、見るからにフンワリした卵に包まれた一品。正式なメニュー名は「特製ふわとろオムライス」(1320円)。

「早よ食べて!フンワリがへたるから!」と加藤さんに急かされ、スプーンを入れてみてビックリ!

スプーンを入れると「シュワ~!」と音が聞こえるほどのフワフワオムライス

音が「シュワ~!」と聞こえてくるフワッフワの感触。そしてアツアツを食べてさらにビックリ!トロける…というより口の中でシュワっと溶ける卵としっかりとした味付けのライスの絶妙なバランス。

本当においしい時「うまい~っ!!」しか言葉が出ないこの悔しさをどう表現すればいいのだろう。

「土鍋の熱さでフワフワ感が増すんですわ」と言いながら「味つけは企業秘密で」と再びニンマリ。

味も会話も楽しめる「KITCHEN加藤」。あ、ここのカレーとハンバーグも絶品なので是非!
(テレビ愛媛)

《KITCHEN加藤 by桜秋桜》
住所:愛媛県松山市松前町2丁目1-3 フェニックス西堀端1F

うどん以外の絶品!旬の地魚を堪能できる居酒屋/香川

香川で地元記者がおすすめする店は、高松市のことでん瓦町駅の近くの飲食店「美人亭」。国の出先機関や企業の四国支店などが集まる“支店経済のまち”高松で、創業38年の名店の魅力は「瀬戸内の旬の地魚」。

店のカウンターのガラスケースに並ぶのはこの日味わえる旬の魚。前の経営者から継ぎ、4年目を迎えた店主の藤井夏さんと相談しながら刺身や煮つけ、天ぷらなど調理してもらう。

取材日には、香川県が世界で初めて養殖に成功したことにちなみ、県魚に選ばれているハマチや、サワラやサヨリ、マゴチのほか、ニシガイやセトダイなど全国にあまり流通しない地魚も登場した。

「美人亭」のセトダイの煮つけ

作ってもらったのはイサキ科の魚「セトダイ」の煮つけ。背びれが日本髪の女性のびんに刺す「くし」に似ていることから香川では「ビングシ」とも呼ばれている。白身魚のおいしさがぎゅっと詰まった「ビングシ」をバランスの良い味に仕上げていて、魚のうまみの染みた豆腐も深い味わい。

「美人亭」のメゴチの天ぷら

また、瀬戸内海で取れたメゴチは天ぷらで。魚の天ぷらと一緒に出てくるのはポン酢でさっぱりと味わえる。

冷酒は香川県琴平町の金刀比羅宮の御神酒も醸す西野金陵の「金陵」、香川県綾川町の綾菊酒造が醸す、全国で初めて当時の名前を冠したという酒「国重」、高知の「土佐鶴」の四国の酒3種類。

「美人亭」のちょい飲みセット(1500円)※写真の飲み物、小鉢に加え魚料理1品付き

お酒が飲めない人も含めて、初めて訪れる人におすすめなのが「ちょい飲みセット」(1500円)。飲み物1杯と、小鉢3つ(1つはご飯に変更も可)、魚料理が1品のセットで、この日はニシガイの酢の物や揚げたてのサヨリの天ぷらなど瀬戸内の旬の味が堪能できる。

藤井さんらの温かいもてなしも魅力で、地元の常連客や国の出先や企業の支店が集まる高松を訪れた県外の客にも親しまれている。

香川県は讃岐うどんの本場。店の周辺には深夜営業のうどん店も複数あり、コシの強い讃岐うどんで高松の夜を締めくくってみてはいかがだろうか。
(岡山放送)

《美人亭》
住所:香川県高松市瓦町2丁目2−10 瓦町マンション

※2024年5月時点の情報です。

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