福井県内の2024年度4月と5月のクマの出没件数は、統計を開始した2004年以来、過去最多を記録しています。6月もすでに160件と大きく数字を伸ばしています。では、なぜ今年はクマの出没が増えているのでしょうか。県の担当者に聞きました。
「6月はすでに160件以上の目撃情報があり、平成16年の統計開始から最多のペース。夏に大量出没する状況になってる」と話すのは、県自然環境課で長年クマの対策などに取り組んでいる西垣正男さんです。西垣さんは、今年のクマの大量出没について、年々進む中山間地域の過疎化が背景にあるとしています。
県自然環境課・西垣正男さん:
「人が中山間地域に住まなくなり、身近な裏山にクマが増え、住み始めたというところが出没の大きな要因だと思う」
6月のクマの出没状況を示すマップを見ると、西垣さんが指摘するように、ほとんどが山間部付近に出没しているのが分かります。ただ、この時期のクマにはある特徴があるといいます。
県自然環境課・西垣正男さん:
「6月、7月はクマの繁殖時期であり、親離れの時期で、若い幼獣が新たな繁殖地を求めてさまよったりする。また、自分の配偶者を求めて広範囲に動き回るので、人目に付きやすい状況にある」
普段より行動範囲が広がることで、19日のように、山から遠い市街地でも出没する可能性があるということです。気になるのは、被害が出ないための行政の対策。今年、県では大きく方針を転換しました。
県自然環境課・西垣正男さん:
「国のほうも『指定管理鳥獣』にクマを指定したので、これまではやや保護的な動物として扱ってきたが、危ないクマについてはしっかり捕獲していくという管理の方向性に向いていく」
国の方針を受け、県ではクマの扱いについて「保護」から「管理」にシフトします。「管理」とは、クマの個体数や生息地域をコントロールすること。国が現在行っている調査の結果をもとに、人里に近いエリアにクマがいることが分かれば駆除する方針です。
西垣さんによれば、現在の保護計画では、人に危害を加えるような場所に出てきたクマのみを捕獲してきたが「管理計画になると、集落に出てくる前に、出てこないように里のほうに分け入ってクマを捕獲するようになる。ここが大きな違い」と話しています。
県内の各市町では、クマの捕獲檻の設置条件を「目撃」から「痕跡」に緩め、人への被害が出ないよう対策を強化しています。
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